2.1 概要
2.2 放射線障害防止法
2.2.1 密封された放射性同位元素
2.2.2 密封されていない放射性同位元素
2.3 その他の法令
2.3.1 医療法及び薬事法
2.3.2 労働安全衛生法、船員法及び国家公務員法(人事院規則10-5)
2.3.3 原子炉等規制法
3.1 国際原子力機関
3.2 欧州委員会
3.3 英国放射線防護庁
4.1 免除レベル算出のための線量規準
4.2 評価対象及び被ばく評価シナリオ
4.3 算出方法及び評価パラメータ
4.4 計算結果
5.1 基本的考え方
5.2 線量規準の妥当性
5.3 評価対象及び被ばく評価シナリオ
5.4 算出方法及び評価パラメータ
5.5 計算結果
5.6 検討結果
5.6.1 国際基本安全基準免除レベルと試算結果の比較
5.6.2 結論
6.1 定義数量以下の放射性同位元素の使用実態
6.2 国際基本安全基準免除レベルを適用した場合の問題点
7.1 国際原子力機関
7.2 欧州委員会
7.3 欧米諸国での取り入れ状況
8.1 基本的考え方
8.2 国内法令等への取り入れに係わる主要事項
8.2.1 国際基本安全基準免除レベルに示されていない核種の取扱
8.2.2 密封線源の取扱
8.2.3 条件付き免除の仕組み
8.2.4 免除された複数の線源の規制
8.2.5 教育、医療等の分野における規制
8.2.6 クリアランスレベルとの整合性
9.1 自然放射性物質の扱い
9.1.1 自然放射線源、製品・生産過程生成物質の影響
9.1.2 自然起源の放射性物質に係る規制規準に関する国際機関における
最近の検討状況
9.1.3 自然起源の放射性物質に係る規制に関する問題点
9.2 正当化されない行為についての規制
9.3 放射線を発生する装置の規制
2.1 概要
我が国においては、「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」
(以下「放射線障害防止法」という)、「医療法」、「薬事法」、「労働安全衛生法」、「船
員法」、「国家公務員法(人事院規則10-5)」、「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規
制に関する法律」(以下「原子炉等規制法」という)等のそれぞれの法令、規則等に
おいて放射性物質の濃度及び数量の範囲を定め、放射性同位元素 *、放射性医薬品、
核原料物質、核燃料物質等を規制の対象としている。
*:本報告書では、『放射性同位元素」を一般的な用語の意味で用いるが、放射線障害防止法で定義さ
れる「放射性同位元素」については、イタリック体で表示し区別する。
2.2 放射線障害防止法
放射線障害防止法において規制される放射性同位元素の濃度及び数量を表1に示
す。本報告書では、表1に示す放射性同位元素の定義に係る数値的基準値を、便宜
上「定義数量」と記述する。定義数量は、規制の対象とする放射性同位元素の濃度、
数量の下限値であり、これ以下は規制対象としないという意味でいわば免除レベル
を表すものである。また、放射性同位元素であっても原子力基本法に規定する核燃
料物質及び核原料物質、薬事法に規定する医薬品及び医療用具で指定するものに装
備されているもの、工業標準化法に規定する日本工業規格に該当する鉱工業品等の
うち指定する自発光性の塗料については放射線障害防止法の適用を除外している。
以下、放射線障害防止法における放射性同位元素の規制の概要を述べる。
| 区分 | 濃度 | 数量 | |
| 密封されていない放射性同位元素 | 1種類 | 74Bq/gを超えるもの(自然に賦存する放射性胴衣元素を含む固体は370Bq/gを超えるもの) | 第一群 3.7kBq 第二群 37kBq 第三群 370kBq 第四群 3.7M8q を超えるもの |
| 2種類以上 | それぞれの群別区分ごとの割合の和が1を超えるもの | ||
| 密封された放射性同位元素 | 1個あたり3.7MBqを超えるもの | ||
| 集合状態の密封された放射性同位元素 | 集合したものごとに 放射性同位元素3.7MBqを超えるもの | ||
2.2.1 密封された放射性同位元素
放射線障害防止法では、密封線源の明確な定義はないが、その使用方法について、
次の2つの条件に適合する状態において使用するように規定している。
@正常な使用状態においては、開封または破壊されるおそれのないこと。密封された放射性同位元素の定義数量は、昭和32年の放射線障害防止法の制定に 伴い、放射性同位元素装備機器との関連で検討された結果、政令に密封線源を装備 する機器の名称を列挙し、放射性核種によらず放射能 b をlmCi * とすることが科学技術庁告示第4号(昭和33年3月31日)において規定された。1mCiという数値は、 機器に装備された密封線源では、機器から放出される放射線による外部被ぱくのみ を考慮すればよいため、放射線障害の危険性は、密封されていない状態に比べ、は るかに少ないこと及び国内での使用状況を考慮して規定された。昭和35年の法令等 改正に伴う科学技術庁告示第22号(昭和35年9月30日)において、装備機器に含 まれる放射性同位元素の定義数量lmCiは、機器に装備されていない密封された放射性同位元素 と同じ取扱いとしたうえで、100μCiと改められた。昭和63年に単位 の変更が行われ、現在の3.7MBqに至っている。
A密封された友射荏伺位元素が漏えい・浸透等により散逸して汚染するおそ れのないこと。
2.2.2 密封されていない放射性同位元素
密封されていない放射性同位元素に対する定義数量は、当初、科学技術庁告示第
4号(昭和33年3月31日)において、一部の放射性同位元素については核種別に、
その他については物理的半減期により、3群に分類して規定された。この規定は、
放射性同位元素による放射線障害の危険性の程度と工場・事業所若しくは販売所が
実際に取り扱っている放射性同位元素の数量(放射能)を考慮して決められた。そ
の後、昭和35年の告示において、新たに第4群を設け、比較的安全性の高い一部の
放射線を放射する同位元素について定義数量を高く変更した。さらに、昭和63年に
単位の変更等が行われ現在に至っている。
2.3 その他の法令
2.3.1 医療法及び薬事法
医療法は、病院等において使用する診療に用いる放射性同位元素やそれを装備した
機器、エックス線装置等の放射線を発生する装置等について放射線防護上必要とする
措置を定めている。
薬事法は、医療用エックス線装置や放射性医薬品を製造する場合等の放射線障害防
止の技術的基準を定めるとともに、放射性医薬品の製造所等の構造、設備について定
めている。
医療法及び薬事法において規制対象となる放射性同位元素の濃度及び数量は、放射
線障害防止法と同様であるが、核燃料物質及び核原料物質について適用の除外の規定
がない。なお濃度については、医療法において診療用放射線照射装置に対して74
Bq/gの規定のみである。
2.3.2 労働安全衛生法、船員法及び国家公務員法(人事院規則10-5)
これらの法律は、放射線障害から労働者等を保護するために事業者等が講じる措
置や労働者等が遵守すべき事項を定めている。
これらの法律で規制対象となる放射性同位元素の濃度及び数量は、放射線障害防
止法と同様であるが、医療法と同様に核燃料物質及び核原料物質について適用の除
外の規定はない。なお、労働安全衛生法、船員法及び人事院規則10-5ではウランま
たはトリウムについては表1の第四群に該当すると規定されているがプルトニウム
については特段の規定がないためアルファ線を放出する同位元素として非密封であ
れば表1の第一群に該当することとなる。なお濃度については医療法等と同様に74
Bq/gの規定のみである。
2.3.3原子炉等規制法
放射線障害防止法で適用を除外している核燃料物質及び核原料物質については、
原子炉等規制法において、表2に示す放射能濃度及び数量(重量)により規制の対
象を定めている。
| 区分 | 濃度 | 数量(重量) |
| 核原料物質(使用の届出を要しない限度) | 74Bq/g 固体370Bq/g | ウラン量の3倍+トリウムの量 900g |
| 核燃料物質(使用の許可を要しない限度) | - | ウラン量:300g トリウム量:900g |
3.1 国際原子力機関
国際原子力機関(IAEA)は、1996年、国連の食糧農業機関(FAO)、国際労働機構
(ILO)、経済協力開発機構の原子力機関(OECD/NEA)、全米保健機関(PAHO)及び
世界保健機構(冊0)と共同して、「電離放射線に対する防護及び放射線源の安全の
ための国際基本安全基準」2(以下「BSS」という)を刊行した。このBSSにおいては、
295核種分(298の免除レベル値)について規制免除の具体的な基準を定め、付則1
に示している(付録2参照)。付則1に示された放射性物質と放射線の規制に関す
る免除の基本的考え方や原則は、1988年に発行された安全指針「放射線源と行為の
規制管理からの免除のための原則」(IAEA Safety SeriesNo.893)(以下IAEA安全
指針(SS-89)」という)に基づいている。
BSSで規定された免除レベル(以下「国際基本安全基準免除レベル」という)には、
後で示す欧州委員会の"European Basic Safety Standards Directive (96/29
/EURATOM)"(以下「EU指令書 96」という)における「報告(reporting)に関す
る免除レベル」において算出されたレベル値が採用されている。付則1においては、
個々の核種の濃度またはその数量のいずれかが免除レベルを下回る場合には、規制
から免除されること(事前の届出や許可等の手続きを要しないこと)、規制当局の
定める条件によっては条件付きの免除を認めてもよいこと等が示されている。
さらに、IAEAは、1996年、放射性物質安全輸送規則「Safety Standards Series
No.ST-1」(以下「ST-1」という)を刊行した。ST-1における規制免除については、
従来の輸送規則では核種によらず一律に70Bq/gとされていたものを変更し、国際
基本安全基準免除レベル(BSSと共通の253核種分255の免除レベル値に加えて113
核種分127の免除レベル値を追加)の考え方を採用している。
ST-1の付属書として刊行された「Safety Standards Series No.ST-2」によると、
『輸送特有のシナリオを付加して算出された輸送特有の免除レベルと国際基本安全
基準免除レベルとを比較した結果、異なる値の採用は行為の境界面で問題を引き起
こし、法令上及び手続き上、複雑になるおそれがあるとの認識から、ST-1における
免除レベルには国際基本安全基準免除レベルを採用した。』と記述されている。
2 Intemational Basic Safety Standards for Protection against Ionizing Radiation and for the Saty Series of Radiation Sonrces,Safety
Seties No.115,IAEA,Vienna(1996).
3 Principles for the Exemption of Radiation Sonrces and Practices from Regulatory Control,Safety Series No.89,IAEA OECD/NEA,Vienna(1988).
3.2 欧州委員会
欧州委員会(CEC)は、欧州共同体におけるユーラトム協定に基づき、加盟国の放
射線防護法令を対象として、基本安全基準指令書(欧州指令書)を1981年に発行し
ているが、この指令書における放射線規制の免除を確立するための概念と方法を示
すことを目的に1993年CEC文書「欧州指令書において、それ以下では報告を必要と
しない濃度及び量(免除値)を確立するための原則」4 (以下「欧州委員会文書(RP-
65)」という)を発行した。免除の基本的な考え方は、ICRP Publ.60やIAEA安全指
針(SS-89)に基づいている。この文書では、296核種の免除レベルを規定しているが、
この数値はフランスの原子力安全防護研究所(IPSN)と英国放射線防護庁(NRPB)に
より算出された。
3.3 英国放射線防護庁
英国放射線防護庁は保健安全執行部(Health and Safety Executive)の委託を受
けて取りまとめた報告書 5 (以下「NRPB-R306」という)を1999年に刊行した。
この報告書には、上記欧州委員会文書(oL65)に示された296核種分(299の免除レ
ベル値)の免除レベルとST-1に示されたH3核種分(127の免除レベル値)の免除レベ
ルに加えて、NRPBが新たに計算した356核種分(361の免除レベル値)の免除レベル
が追加され、合計765核種分(787の免除レベル値)の免除レベルについて、放射能濃
度と放射能が示されている。
新たに356核種分(361の免除レベル値)の免除レベルを計算するにあたって、NRPB
は、国際基本安全基準免除レベル導出時に使われたものと同じ線量規準の数値、被
ばくシナリオ(被ばく評価経路及び評価パラメータを組み合わせたもの)及び計算
式を用いている。これは、欧州委員会文書(RP-65)の導出法と同じであるが、その線
量計算においては、国際基本安全基準免除レベルの計算の際には発行されていなか
ったICRP Publ.68 6 及びPubl.72 7 の内部被ぱくに係る線量係数が採用されている。
4.1 免除レペル算出のための線量規準
IAEAは、安全指針(SS-89)において、免除のための基本的規準として、個人のリス
クと放射線防護の最適化 b における規準を示している。個人リスクを十分に低くする
ための規準は、数10μSv/年のオーダーであるとしている。さらに、放射線被ばくを
経済的、社会的な要因を考慮に入れながら、合理的に達成できるかぎり低く保たな
ければならないという防護の最適化については、集団線量預託 b が1人・Svを下回る
ようであれば達成できると判断している。
線量規準は、通常時のものに加え、事故や使用過誤についても考慮した事故時のものが定められている。事故時の線量規準は、ICRP Publ.60で提案されている潜在被ばくの考え方に基づき、事象の発生確率を考慮して定められている。具体的には、事故の発生確率を年当り100分の1(10-2 事象/年)とし、通常時の実効線量規準(10μSv/年)と同じリスクとなる事故時の年平均実効線量規準を、通常時の10μSv/年を 10-2 事象/年で除することにより算出し、1 mSv/事象としている。また、ある状況では皮膚の局所的な被ばくが問題となることがあることから、皮膚の確定的影響cを防止するために、皮膚に対する等価線量の線量規準を表3のように設定している。事故時については、確定的影響を対象としているため、通常時と同じ値としている。
4 Radiation Protection-65,Principles and Methods for Establishing Concentrations and Quantities(Exemption values)Below which Reporting is not Required in the European Directive., CEC,(1993)
5 Exemption concentrations and quantities for radionuclides not included in the European Basic Safety Standards Directive., NRPB, (1999)
Directive一,NRPB,(1999)
6 DDose Coefficients for Intakes of Radionuclides by Workers., ICRP (1994)
7 Age-dependent Doses to Members of the Public from Intake of Radionuclides:Part 5, Compilation of Ingestion and Inhalation Dose Coeffecients., ICRP (1996)
b 最適化:用語解説(付録1)「放射線防護体系」を参照
集団線量預託:用語解説(付録1)を参照
| 線量規準(mSv/年) 実効線量 皮膚の等価線量 |
| 普通の状況(通常)
0.01
50 最悪の状況(事故) 1 50 |
4.2 評価対象及び被ばく評価シナリオ
国際基本安全基準免除レベルを算出するために選択された規制免除の対象となる
行為は、少量の放射性物質の産業利用及び教育、研究並びに病院などの施設での小
規模な使用としている。
また、検討対象とする放射性核種及び物理的形態は以下のとおりである。
@放射性核種数評価対象者としては、作業者及び公衆としている。被ばく線量の評価は、最も高 い線量を受けると予想される個人を考え、その個人を代表とする集団(このような 集団をICRPで決定グループと呼んでいる。ICRP Publ.439)を想定し、例えば作業時 間や呼吸率などの被ばく線量計算に用いるパラメータ(以下「評価パラメータ」と いう)については集団の平均的な値を用いている。評価経路については、表4に示 すとおり、通常の作業時、事故時及び処分場における公衆の被ばくに対する3タイ プ7つのシナリオについて、外部被ばく、経口摂取または吸入摂取の被ばく経路を 考慮している。
295核種を規定し、永続平衡cになっている娘核種cがある場合は、それら 娘核種による影響も含めて線量計算を行う。
A物理的形態
気体(蒸気)、液体(溶液)、飛散性固体(粉末)、非飛散性固体(薄 膜・箔・密封線源・容器(カプセル))
| シナリオ | 放射能濃度に関する被ばく経路 | 放射能に関する被ばく経路 | |
|---|---|---|---|
| 作業者 |
通常 使用 |
A1.1 線源取扱いによる外部被ばく A1.2 1m3線源からの外部被ばく A1.3 気体容器からの外部被ばく A1.4 ダストの吸入摂取 A1.5 汚染した手からの経口摂取 |
B1.1 点線源からの外部被ばく B1.2 線源取扱による外部被ばく |
| 事故 |
上記と同じ ただし、被ばく時間や発生確率を考えると、通常使用時の方が被ばく線量が高くなるため、計算を行っていない。 |
〈飛散〉 B2.1 汚染した手からの外部被ばく B2.2 汚染した顔からの外部被ばく B2.3 汚染した床面からの外部被ばく B2.4 汚染した手からの経口摂取 B2.5 再浮遊放射能の吸入摂取 B2.6 エアロゾル、ダスト雲からの外部被ばく |
|
| 〈火災〉 B2.7 皮膚の汚染 B2.8 ダスト、揮発物質の吸入摂取 B2.9 燃焼生成物からの外部被ばく |
|||
| 公衆 |
処分 場 |
A3.1 処分場からの外部被ばく A3.2 処分場からのダストの吸入摂取 A3.3 処分場での経口摂取 |
B3.1 処分場からの外部被ばく B3.2 処分場からの吸入摂取 B3.3 処分場の物の取扱いによる皮膚の被ばく B3.4 処分場での経口摂取 |
4.3 算出方法及び評価パラメータ
国際基本安全基準免除レベルは、以下の@からDまでの手順で算出されている。
@1Bq/gの放射能濃度または1恥の放射能あたりの各被ばく経路における実効 線量、皮膚等価線量を計算する。8 Harvey.J.M,Chapuis.A.M,Guetat.Ph and Renaud. Ph.,Calculation of doses associated with suggested exemption quantities and concentrations and the derivation of proposed exemption levels.
A各被ばく経路の実効線量、皮膚等価線量をそれぞれ以下のグループ毎に合算 する。
・放射能濃度計算用:作業場所(通常使用)、公衆(処分場)
・放射能計算用:作業場所(通常使用)、作業場所(事故、飛散及び火災)、 公衆(処分場)
B個々のグループ毎の免除レベルを次式で計算する。
グループ毎の免除レベル= 線量基準値 単位放射能濃度または単位放射能当たりの線量
C上記で計算されたグループ毎の免除レベルのうち、最も厳しい値を採用する。
D免除レベルを3×lOxから3×10x+1までの値を10x+1と端数を処理する。
各被ぱく経路における被ばく線量の計算方法及び評価パラメータ等についての詳 細は付録3に示す。
4.4 計算結果
計算結果としての国際基本安全基準免除レベルは、付録4「免除レベルー覧」に
示す。
現行の我が国の定義数量においては、基本的には核種毎の化学的・物理的性質の
違いを細かく考慮して決められてはいない。密封された放射性同位元素は、その物
理的形態から、外部被ばくのみを考慮している。密封されていない放射性同位元素
については、核種を4群に分類し、定義数量を決めているが、これは主に内部被ば
くを考慮して決められている。また、我が国では密封と非密封の放射性同位元素で
規制の対象とする数量を区分しているが、米国、欧州などの主要な国ではそのよう
な取扱はされていない。このような我が国の規制は、これまでの長い規制実績の中
で十分機能し、その役割を果たしてきたところである。
しかしながら、前述したとおり、国際基本安全基準に示された免除レベルでは、
通常時では実効線量を年間10μSv、事故時では実効線量を年間1mSvとする線量規
準を定めた上で、核種毎の違いや一定の被ぱくシナリオに基づく被ばく計算により、
核種毎に規制を免除する放射能と放射能濃度を定めており、これは科学的、社会的
により進んだ規制の考え方と言えるものである。また、このような国際機関等で合
意された免除レベルを各国が取り入れることは、放射性同位元素の貿易や輸送を円
滑かつ安全に行ううえでも、適切であると判断される。
したがって、我が国としては、国内法令に基づく現行の定義数量にこだわること
なく、国際機関等で合意された免除レベルの考え方等を踏まえ、これをどのように
取り入れるかについて検討すべきと判断される。免除レベルの算出方法の検討にあ
たっては、我が国独自に作成した被ばくシナリオ、パラメータ等に基づく免除レベ
ルの算出も考えられるが、国際的な整合性を維持することも重要な要素であること
から、基本的には国際基本安全基準に示された免除レペルを前提にパラメータ、被
ばくシナリオの一部において、我が国の事情を考慮した免除レベルの試算を行うこ
ととし、その結果を踏まえ、我が国の国内法令への取り入れ方を検討することが適
切と判断される。
5.2 線量規準の妥当性
国際基本安全基準免除レベルの算定に用いられた個人被ばくの線量規準は、IAEA
安全指針(SS-89)で述べられている「放射線による影響がとるに足らないほど小さい
線量(trivial individual dose)」の考え方に基づいている。すなわち、その線量が
もたらす個人のリスクがとるに足らない、あるいは無視できるほど小さいレベルで
あることと自然放射線による被ばく線量の変動と比較して小さいことの2点を考慮
している。
IAEA安全指針(SS-89)で引用された文献 10.11.12 において、さまざまな分野における
リスクの比較が行われ、個人の年間死亡確率として10-6から10-7のリスクに相当す
る事象に対し、人が手立てを講じていないことから、このレベルが無視できるほど
小さいリスクとされている。このリスクのレベルは、年間線量で10-100μSvに相当
するとされている。また、自然バックグラウンド6については、原子放射線の影響に
関する国連科学委員会(以下「UNSCEAR」という)の1982年報告書 13 によると世界平
均として約2mSv/年であり、この値の1から数%程度である年間20-100μSvは、
自然バックグラウンドの変動と比較して無視できるくらい小さいと判断し得るとさ
れている。
以上の考慮からIAEAは安全指針(SS-89)において、免除のための個人線量の規準
は、数10μSv/年のオーダーであると判断している。欧州委員会文書(RP-65)では、
複数の免除された行為からの被ばくの重畳も勘案して、1つの行為に対する決定グ
ループの被ばくに対する線量規準として10μSv/年を採用している。
国際基本安全基準免除レベルを導入する場合、我が国においても線量規準が妥当
であることを確認する必要がある。
我が国における自然放射線による被ばく線量は、約1.5mSv/年 14 とされているが,
10μSv/年は、その1%以下である。また、自然放射線のうちガンマ線量率について
の地域的変動については、市町村ごとの平均値の範囲はO.3〜1.3mSv/年であり 15 、
10μSv/年はこの変動と比べても小さいと考えられる。
なお、10μSv/年の規準は、放射線審議会の「放射性固体廃棄物の浅地中処分にお
ける規制除外線量について」(昭和62年12月)において、規制から除外する際の
基準値として妥当とされている。この値はさらに、我が国におけるクリアランスレ
ベルの算出においても原子力安全委員会の「主な原子炉施設におけるクリアランス
レベルについて」(平成11年)で線量の目安値として設定されている。
IAEA安全指針(SS-89)では、個人の年間死亡確率として10-6から10-7のリスクが無
視できるほど小さいリスクとされているが、我が国における種々のリスクの比較に
ついて、参考のための資料を付録5に示す。
国際基本安全基準免除レベル算出において事故のシナリオに関連する線量規準を
定める際に、事故の発生確率は、10-2事象/年であるとしている。我が国における事
故発生確率の例を付録6に示す。一例として、労働災害についてほぼ10-2件/人・
年(労災保険適用労働者48,492,908人中の労災保険新規受給者数602,853人:
1999年度労働者災害補償保険事業年報より算出)という統計もある。労働災害と放
射性同位元素の取扱や処分の際の事故を単純には比較できないが、労働災害はすべ
ての種類の災害を含んでいるのに対し、国際基本安全基準免除レベル算出で考えら
れたシナリオでは、火災や処分場での放射性同位元素の流出の限られた種類の事故
のみであることから、10-2事象/年は、保守的な値であると考えられる。
以上のことから、我が国における線量規準及び事故の発生確率として10μSv/年
及びlO-2事象/年を設定することは妥当である。
10 Clarke, RH, Fleishman, AB, The establishment of de minimis levels of radioactive wastes, paper presented at 6th IRPA Congress, Berlin, 1984.
11 Travis. CC, Richter. SA, Crouch. EAC, Wilson. R, Klema. D., Cancer risk management, Environ. Sci. Technol. 21, 415-420, 1987
12 Spangler, MB, De minimis risk concepts in the US Nuclear Regulatory Commission, Part 1, As low as reasonably achievable, Project Appraisal 24, 231-242,1987
d 自然バックグラウンド:用語解説(付録1)を参照
13 Sources and Biological Effects., UNSCEAR (1993)
14 原子力安全研究協会“生活環境放射線”1992年
15 阿部史郎、わが国における自然の空間放射線分布の測定、保健物理、17, 169-193, 1982
5.3 評価対象及び被ばく評価シナリオ
評価対象は、国際基本安全基準免除レベルを算出したものと同様に規制免除の対
象となる行為、放射性核種、物理形態及び評価対象者を考慮した。
国際基本安全基準免除レベル算出のシナリオ(以下「BSSシナリオ」という)は、
4.2で述べたとおり、7つのシナリオと23の被ばく経路が考慮されているが、こ
れは基本的に使用と廃棄に関するものであり、かつ、比較的少量の放射性同位元素
の取扱であることから、製造、販売及び貯蔵のような量が多量になるもの、または
作業及び被ばく時問が長期となるものは、規制の免除からは外されていると考えら
れる。
BSSシナリオを我が国において適用することの妥当性についてワーキンググルー
プにおいて検討されたが、これについて再検討した結果、これらのシナリオに加え、
独自のシナリオとして以下の@〜Gの追加シナリオ(経路)についての検討の必要
性があると判断された。
@商品販売の販売員の被ばくこのうち、@については、BSSシナリオの作業場所における通常使用と比較して、 店舗での放射性同位元素を含む陳列商品及び倉庫に置かれた商品との距離が比較的 離れ(数倍程度)ていて、取扱う時間も短い(10分の1程度)ことからBSSシナリ オ(A1.2、表4参照)に包含されると考えられる。さらに商品は店頭において複数 個陳列されるが、商品と販売員の距離はBSSシナリオ(1m)よりも離れていると考 えられる。
A廃棄物の収集作業者の被ばく
B廃棄物の運搬作業者の被ばく
C廃棄物の埋設作業者の被ばく
D処分場跡地での住居建設に伴う被ばく
E処分場跡地での居住に伴う被ばく
F地下水を介した被ばく(地下水の飲用及び養殖淡水産物の摂取)
G液体状の線源の一般下水道への廃棄に伴う被ばく
5.4 算出方法及び評価パラメータ
算出方法は、基本的に4.3で示した国際基本安全基準免除レベルによる方法と
同様である。ただし、ワーキンググループは、評価パラメータのうち、表5に示す
ものについては、我が国特有の事情を考慮して国際基本安全基準免除レベル算出と
異なる値を用いた。これらの評価パラメータを用いて、国際基本安全基準免除レベ
ル算出において検討された295核種分(298の免除レベル値)の計算を行った。その
際、公衆被ばくを考慮している処分場シナリオでは、小児(10歳児で代表)につい
ても計算を行った。なお、10歳児の外部被ばくに伴う実効線量の計算については、
既存の研究結果を基に、線量換算係数を一律1.3倍にしている。
| 評価パラメータ名 | BSS(RP-65)の数値 | 試算に用いた数値 |
|---|---|---|
| 呼吸率 (m3/h) | 1.0 | 1.2 (成人) 0.78(10歳児) |
| 内部被ばく線量係数 (Sv/Bq) | NRPB R-245 | 作業者:ICRP Publ.68 (5μm:AMAD)* 公衆:ICRP Publ.72 (5μm:AMAD)* |
| 作業室の体積 (m3) | 32 | 100 |
| 揮発割合 (-) | ヨウ素:0.1 特定元素以外:0 |
ヨウ素:1 特定元素以外:0.01 |
| 皮膚面積 (cm2) | 10,000 | 18,000(成人)9,610(10歳児) |
5.5 計算結果 計算結果として、我が国における免除レベル試算値を、付録4「免除レベルー 覧」にNRPB(R-306)、βSS及びST-1における免除レベルとともに示す。
5.6 検討結果
5.6.1 国際基本安全基準免除レベルと試算結果の比較
免除レベル試算値については、最終的に欧州委員会文書(RP-65)で採用されている
方法を用いて桁ごとにまとめた。つまり、計算結果が3×10xから3×10x+1の範囲
であれば、最終的に免除レベルは1×10x+1と端数を処理した。
放射能濃度に対する免除レベルは、α線放出アクチニド核種に対する値
(1Bq/g)と、Ar-37に対する値(1×l06Bq/g)との間の範囲にある。決定グルー
プ(4.2参照)の被ばくをもたらす被ばく経路の一般的傾向として、大部分の核
種に対する免除濃度は、作業場所における線源近傍での外部被ばくで決まるが、気
体状核種については、ガス容器近くでの外部被ばくが、その他の核種については、
作業場所での吸入摂取や処分場での公衆の経口摂取が決定経路となっている。
放射能に対する免除レベルは、α線放出アクチニド核種に対する値(1×103Bq)
と、短半減期希ガスであるKr-83mに対する1×l012Bqとの間の範囲にある。決定経
路の一般的傾向として、α線放出核種については吸入摂取が、β・γ線放出核種に
ついては、線源取扱時の皮膚等価線量または外部被ばくによる実効線量で決まるが、
一部、作業場所での火災事故時の煙の吸入摂取や処分場における公衆の経口摂取が
決定経路となっている。
免除レベル試算値と国際基本安全基準免除レベルとの間の相違は、放射能濃度に
関しては全て1桁以内である。放射能に関しては、希ガス4核種(Kr-79,Kr-81,Xe-
131m,Xe-133)は免除レベル試算値の方が大幅に高く、2核種(Mo-93,Ra-228)は免除
レベル試算値が2桁低くなっている。
これらを除いてはすべて差が1桁以内のものであり、これらの差は最終的に計
算結果の端数を処理することが大きく影響していると思われる。また、希ガス4核
種の免除レベル試算値の放射能が高い理由としては皮膚に関する線量換算係数が国
際基本安全基準免除レベルの算出に用いられた値と異なることがあげられる。さら
に、放射能についてMo-93とRa-228が国際基本安全基準免除レベルより2桁低い計
算結果になった理由については、田Sで用いられたパラメータの見直し、特に呼吸
率と被ぱく対象年齢の変更、内部被ばくにおける線量係数、作業室の体積、揮発割
合及び皮膚面積についてのパラメータを変更したために免除レベルが最終的な数値
の端数処理を含めて2桁異なったことによるものである。
5.6.2 結論
前述したように、ワーキンググループによる免除レペル試算値と国際基本安全基
準免除レベルとの間の相違は、その殆どが1桁以内のものである。その差は異なる
パラメータ値を用いたことだけによる差ではなく、数値の端数処理等による変動の
範囲と考えられる。希ガスなど気体状の核種では、免除レベル試算値が大幅に大き
い値があるが、それらについては、主に皮膚被ばく等の評価方法の差に基づくもの
であり、国際基本安全基準免除レベルは数値的に安全側となる。
国際基本安全基準免除レベルとワーキンググループの免除レベル試算値との比較
を評価すると、我が国の法令に国際基本安全基準免除レベルを取り入れた場合でも、
免除した放射性同位元素からの被ばくに対する国民の安全性を担保する観点で問題
は無いと判断される。
6.1 定義数量以下の放射性同位元素の使用実態
放射線障害防止法に規定された定義数量以下の密封された放射性同位元素は、一
般消費財 e や各種計測・分析機器さらには研究用機材にまでその簡便性と効率性の観
点から広く利用されている。特に機器に装備されている定義数量以下の密封放射性
同位元素は、研究分野や産業界でも広く利用されており、その経済的効果も大きく
評価されている。
ここでは、定義数量以下の放射性同位元素を意図的に添加、使用している機器に
ついて、国内における最近の使用実態について述べる。
定義数量以下の放射性同位元素を用いた一般消費財として普及しているものは、
煙感知器(Am-241)、グロースタータ(Pm-147,Kr-85)、ネオンランプ(Pm-147,
Ni-63)などである。
また計測機器や分析機器としては、集電式電位測定器(Am-241)、エアロゾル中和
器(Am-241)、種々の厚さ計(Sr-90,Tl-204)、携帯型液化ガス液面レベル計(Co-
60)、スケールチェッカー(Co-60,Cs-137)、γ線密度計(Co-60,Cs-137)、RI水
分・密度計(Co-60,Cf-252)などが利用されている。機器校正用線源として、プラス
チック検出器等の測定効率決定用線源、モニタリングポストの校正用線源、液体シ
ンチレーション測定装置の外部標準線源法用線源、エリアモニタ、排気・排水モニ
タ及びサーベイメータなどの機器の動作確認用線源が利用されている。
これらの使用実態の詳細は、付録8に示す。
e 一般消費財:用語解説(付録1)を参照
6.2 国際基本安全基準免除レベルを適用した場合の問題点
国際基本安全基準免除レベルを我が国の法令に導入した場合、従来の定義数量と
比較して厳しくなる場合と緩和される場合がある。主な核種について、表6に示す。
この表によると、濃度については緩和される核種が厳しくなる核種より若干多くな
り、緩和される傾向にある。また、数量(放射能)については、非密封の放射性同
位元素では、緩和される核種が多いが、密封の放射性同位元素については、厳しく
なる核種が多くなる。
我が国における定義数量以下の密封された放射性同位元素の使用状況調査結果
(表7)からも、現在、産業界等において利用されている密封の放射性同位元素の
数量(放射能)は、国際基本安全基準免除レベルを超えているものが多い。したが
って、国際基本安全基準免除レベルを、我が国の法令に取り入れた場合、これまで
自由に使用できた機器等が規制の対象となる可能性がある。
| 厳しくなる核種 | 緩和される核種 | ||
|---|---|---|---|
| 濃度 |
Na-22 , Sc-46 , Mn-54 , Fe-59 , Co-60 Zn-65 , Cs-134 , Cs-137 , Ir-192 , Ra-226 Am-241 , Cf-252 (その他107核種) | H-3 , C-14 , P-32 , S-35 , Ca-45 , Cr-51 Fe-55 , Ni-63 , Kr-85 , Sr-90 , Tc-99m I-125 , I-131 , Tl-204 (その他165核種) | |
| 放射能 |
密封 |
Na-22 , P-32 , Sc-46 , Mn-54 , Fe-55 Fe-59 , Co-60 , Kr-85 , Sr-90 , I-125 I-131 Cs-134 , Cs-137 , Ra-226 , Am-241 Cf-252 , Tl-204 (その他207核種) | H-3 , C-14 , S-35 , Ca-45 , Cr-51, Ni-63 Tc-99 , Pm-147 (その他66核種) |
| 非密封 |
Cs-134 , Cs-137 , Ir-192 , Tl-204 , Ra-226 Am-241 , Cf-252 (その他57核種) | H-3 , C-14 , Na-22 , P-32 , S-35 , Ca-45 Cr-51 , Mn-54 , Fe-55 , Fe-59 , Co-60 Ni-63 , Zn-65 , Kr-85 , Tc-99m , I-125 I-131, Pm-147 (その他216核種) | |
| 機 器 | 使用放射性核種及び放射能 | BSS免除 放射能 | 年間販売数* | 国内台数* | |
|---|---|---|---|---|---|
| レーダ受信部(切替放電管) | Am-241 | 74〜300 kBq | 10 kBq | 2,000 | ― |
| 集電式電位測定器 | Am-241 | 326 kBq | 10 kBq | 19 | 81 |
| エアロゾル中和器 | Am-241 | 3.7 MBq | 10 kBq | 8 | 60 |
| 非接触厚さ計(透過型) | Sr-90 Tl-204 |
3.5 MBq 3.5 MBq |
10 kBq 10 kBq |
― ― |
20 30 |
| 膜厚測定器(散乱型厚さ計) | Sr-90 Tl-204 |
3.7 MBq 3.7 MBq |
10 kBq 10 kBq |
― ― |
― ― |
| 携帯型液化ガス液面レベル計 | Co-60 | 3.7 MBq | 100 kBq | 125 | 2,855 |
| スケールチェッカー | Co-60 Cs-137 |
3.7 MBq 3.7 MBq |
100 kBq 10 kBq |
4 ― |
45 98 |
| 配管密度計 | Co-60 Cs-137 |
3.7 MBq 3.7 MBq |
100 kBq 10 kBq |
― ― |
― ― |
| オンライン密度計 | Co-60 Cs-137 |
3.7 MBq 3.7 MBq |
100 kBq 10 kBq |
20 | 600 |
| コア密度計 | Co-60 Cs-137 |
3.7 MBq 3.7 MBq |
100 kBq 10 kBq |
2 | 4 |
| γ線密度計 | Co-60 Cs-137 |
3.7 MBq 3.7 MBq |
100 kBq 10 kBq |
8 0 |
232 60 |
| バルブ開閉探知機 | Cs-137 | 3.7 MBq | 10 kBq | 0 | 14 |
| RI水分密度計 | Co-60 + Cf-252 |
2.59 MBq 1.11 MBq |
100 kBq 10 kBq |
37 | 945 |
| 水分計 | Cf-252 | 1.11 MBq | 10 kBq | 2 | 12 |
| 間隙測定器 | Cf-252 | 1.11 MBq | 10 kBq | 0 | 1 |
| 産業用計測機器校正用線源 | Co-60 Cs-137 |
3.7 MBq 3.7 MBq |
100 kBq 10 kBq |
25 12 |
― ― |
| 有毒ガス検出器 | Am-241 | 3.7 MBq | 10 kBq | ― | 200 |
| 計測機器校正用線源 | Co-60 Cs-137 他 |
3.7 MBq以下 | 100 kBq 10 kBq ― |
169 77 ― |
― ― ― |
7.1 国際原子力機関
IAEAでは、1996年にIAEAが提案したクリアランス(IAEATECDOC-855)や1999年
にICRPが提案した介入の免除 f などの新しい概念を導入するにあたり、それ以前か
ら検討されてきた免除との整合性のある基本的枠組みを確立することについて検討
がなされてきている。クリアランスレベルとの整合性をはかるために、国際基本安
全基準免除レベルのレベル値を再検討する必要性が指摘された。また、チェルノブ
イリ事故による汚染地域をかかえるベラルーシから食品や木材などの流通商品を輸
出入する際の放射能濃度の基準値について免除レベルとは別に策定してほしいとの
要望が出された。
これらの問題は、国際貿易に係る放射能レベルに関する技術文書(DS51)とクリアラ
ンスに関する技術文書(DS161)の両方に係わることから、これらを統合して新たな技
術文書(DS161)を作成することとなり、2001年4月より、放射線安全基準委員会
(oLSSC)と廃棄物安全基準委員会(WASSC)の合同委員会で検討を始めた。その後の合同
委員会で、免除、クリアランス及び貿易のための基準値を策定するための方針につい
て検討され、2002年2月に開催された技術会合(TM)において、新しい技術文書「放射
線防護の目的のための規制に要求される商品における放射性核種の含有量の明確化」
(DS161)の草案が示された。その中で適用範囲規定レベル(SDL:Scope-Defining
Level)という新たなレベル値が提案された。
SDLは、このレベル以下では、放射性物質として考える必要はなく、BSSで規定さ
れる放射線防護の要件を受けず、大規模産業利用においても、自由に貿易できるレベ
ルとして適用されるものであり、クリアランスにも適用できるとされている。
このDS161の草案作成の過程において、当初は、国際基本安全基準免除レベルの
改定も考えられた。この草案においては、放射性物質の使用等に係る行為について
の免除レベルは、従来どおり国際基本安全基準免除レベルを用いることが明記され
ている。
f 介入の免除:用語解説(付録1)を参照
7.2 欧州委員会
BSSの内容を盛り込んだ欧州原子力共同体指令書(EU指令書96)は1996年5月
13日に採択された。その効力の発効について記した第56条では、2000年5月13日
に従前の指令書を廃止することとされており、それまでに各国に対しEU指令書96
に即した法令の改正が求められていた。しかし、2001年10月現在、取り入れが完
了している国はわずか数か国であり、加盟国の約4分の3は各国の国会にて審議中
である。EU指令書96の取り入れが遅れている要因として、自然放射性物質の扱いな
どを欧州委員会はあげている。自然放射性物質については、特に建材に含まれる自
然放射性物質を一般消費財として規制から免除する場合の措置について議論が行わ
れている。さらにEU加盟各国とも関連する国内規制当局が一つではないため、規制
当局間の意見調整に時間を要しているようである。
欧州委員会では、9SSで免除レベルが定められている核種数の295については、一
般消費財に含まれるものを含めて主要な核種は全て含まれており、それ以外の核種
はいわば特殊なものであり、使用にあたって規制免除の必要性はないとの考え方に
立っている。
また、免除レベル変更に関する従前との整合性については、従来の免除レベルは、
100Bq/g(自然放射性物質について500Bq/g)であり、一般消費財に含まれる核種
については、自然放射性物質以外の放射性物質については従来よりも免除レベルが
高いので支障はないとしている。欧州委員会では各国の現行の免除レベルが異なる
ため、貿易時における問題を解決することを重要視している。
別指令書96では、EU加盟国における一般消費財のうち、食品、玩具、装身具、
化粧品への放射能の添加は、数量の如何にかかわらず、規制免除が正当化されない
としている。
7.3 欧米諸国での取り入れ状況
英国においては、1999年に定めた電離放射線規則(IRR1999)において、国際基本安
全基準免除レベル295核種及びNRPB-R306で算出された470核種について免除レベ
ルを導入している。一般消費財についての型式承認や条件付き免除(8.2.3参
照)も関係の規則により規定されている。
ドイツにおいては、2001年7月の放射線防護法令の改正により、英国と同様に国
際基本安全基準免除レベル295核種及びNRPB-R306で算出された470核種を導入し、
密封線源については、従来から取り入れている型式承認の方法を見直し、IAEAで規
定している条件付き免除の制度を、免除レベルの10倍までという制限などを追加し
て、型式承認の制度として採用している。
米国においては、2002年3月現在で、まだ核種別に評価した国際基本安全基準免
除レベルの導入は行っておらず、免除レベルは5段階の群別で規定している。
カナダについても、2002年3月現在で国際基本安全基準免除レベルの導入は行っ
ていない。
以上で述べた各国での、取り入れ状況と規制方法についての詳細を付録9に示す。
放射線障害防止法における定義数量は、これまで放射性同位元素の安全確保に十
分な役割を果たしてきている。その制定以来40数年が経過し、この間にICRPは
1977年と1990年に主要な勧告を発行し、「行為の正当化」、「防護の最適化」、
「線量限度」という基本的原則に基づく放射線防護体系 g が提唱された。この放射線
防護の基本的考え方に基づき、科学的、社会的により進歩した考え方、数値が、免
除レベルとしてIAEA等から提案されている。また、欧州を中心として、その取り入
れの検討が進められるとともに、一部の国では既に国内法令に取り入れられている。
これらの状況に鑑み、我が国としても基本的にはこれを取り入れることが適切で
あると判断される。
国内法令に免除レベルを取り入れるにあたっては、各国の取り入れ状況や検討状
況、更には、引続き国際機関等で議論が深められている事項もあり、これらの国際
的動向を十分考慮するとともに、過去40数年間にわたる現行の定義数量に基づく国
内の規制対象及び規制対象外の放射性同位元素の使用実態も把握、分析しつつ、規
制の仕組みも併せて十分考慮することが重要である。
また、免除レベルと関係する規制の除外、クリアランスレベル、自然放射性物質
に対する介入君等については、本基本部会や原子力安全委員会等で今後より具体的、
介入、放射線防護体系:用語解説(付録1)を参照
詳細な検討が進められると考えられる。当面予定する免除レベルの導入に際しては、
これら関連する事項の考え方との整合性に配慮する必要がある。
g 介入、放射線防護体系:用語解説(付録1)を参照
8.2 国内法令への取り入れに係わる主要事項
8.2.1 国際基本安全基準免除レベルに示されていない核種の取扱
免除レベルは、現在の科学技術庁告示第5号(平成12年10月23日)「放射線を
放出する同位元素の数量等を定める件」(以下、「数量告示」という)に記載され
ている1020核種すべてについて値を用意することが望ましいが、現在までにBSSと
同じ方法で算出されているのは、NRPB-R306にある765核種までである。数量告示
に記載されている核種で、NRPB-R306で規定されているもの以外のものは、主に放
射線発生装置で生成される半減期の短い核種(短寿命核種)である。これらの核種
については、輸送や輸出入の対象にはなり得ず、国際基準との整合性をとる必要性
は低い。そこで、必要に応じてγ・β線放出核種とα線放出核種というように、放
出する放射線やその核種の半減期等により、グループ分けして免除レベルを設定す
ることが考えられる。
8.2.2 密封線源の取扱
国際基本安全基準免除レベルは、線源の密封・非密封により数値を区別していな
い。その理由としては、規制免除された密封線源では、それが廃棄処分されてから
は、密封性が永久に担保されるものではないので、非密封線源と同様の扱いをする
べきとの点がある。よって、免除レベルとしては、密封・非密封の区別を行わない
ことが望まれる。ただし、規制対象の線源については、密封・非密封のそれぞれの
特性に対応した被ばく管理や処分が行われるように、従来から行われている密封・
非密封を区別した規制方法の導入が望まれる。
また、日本工業規格(JIS)(Z 4821)では、密封線源とは、「カプセルに収められ
た放射線源で、そのカプセルは線源の設計条件下で、放射性物質が露出または散逸
しないだけの十分な強さを持ったもの」と規定されている。これらを参考にして今
後、密封線源の定義や密封性の担保に係る基準について検討する必要がある。
8.2.3 条件付き免除の仕組み
BSSでは以下の要件を満たす機器について、条件付き規制免除の規定を設けてい
る。
@規制当局によって認可された型式であること。なお、Bに示されている1μSv/時の線量率についての要件は、1962年に発行され たIAEA基本安全基準(IAEA Safety Series No.9)からすでに用いられている。これ は、十分な密封性を担保された密封線源であれば、外部被ばくだけを考慮すればよ いとの考えで、これまで長期にわたり適切に用いられてきた基準である。
A放射性物質が人体や物と接触することやそれ自体が漏えいすることを有効に 防止するような密封線源の形態であること。
B通常の運転状態において、人が触れる装置表面からO.1皿の距離における線量 率が1μSv/時を超えないこと。
C処分に必要な条件を規制当局が定めていること。
8.2.4 免除された複数の線源の規制
免除レベルの算出のシナリオにおいては、一個の線源の取扱についての被ばく線
量を評価しているが、実際には免除された線源を複数個取り扱うことが考えられる。
5.2で示したように、販売の場合における店舗の陳列や倉庫での保管については、
国際基本安全基準免除レベル算出シナリオで包含されることが確認された。
このような商品の販売以外の場合で、複数個の線源を同じ場所で同時に取り扱う
作業については、線源全体を集合体としてとらえて、免除の考え方が適用し得るこ
とを確認すべきである。現行の放射線障害防止法の定義数量における密封線源の集
合体としての取扱(表1参照)との整合性も考慮して、複数個の免除された線源を
取り扱う場合の規制方法について、検討することが必要である。
8.2.5 教育、医療等の分野における規制
教育、医療、研究などの分野については、欧州委員会文書(RP-65)における免除レ
ベル算出の際に、放射線の性質を説明するための教育上の使用、研究用実験室にお
ける生化学トレーサーb、病院におけるラジオイムノアッセイ h など少量の放射能を
扱うものについては、規制を免除されるべきものとして示されている。このような
利用は、BSSで規定された免除レベルを超えるような使用方法も考えられるが、安全
が担保されることを前提に、これらの分野において放射性同位元素を利用する環境
が整備されることを考慮されてもよい。とりわけ医療分野においては、放射性同位
元素を用いた新しい医療技術の取り入れが望まれている。
これらの分野において、それぞれの使用状況を考慮して、条件付き規制免除など
を導入することも考えられる。
h 生化学トレーサー、ラジオイムノアッセイ、クリアランス:用語解説(付録1)参照
8.2.6 クリアランスレベルとの整合性
規制免除レベルと類似の概念としてクリアランスレベルの概念があるが、クリアラ
ンスレベルは放射線防護に係る規制の体系にあるものをその規制の体系から外しても
よいものを区別するレベルである。
これら2つの概念は放射線影響が無視できるほど小さいという線量規準を用いる点
では共通している。しかしながら、クリアランスの対象物量については、医療活動な
ど小規模事業から発生する廃棄物のクリアランスのように多くとも1トン規模のもの
から、原子力施設解体廃棄物のクリアランスのように数万トンから数十万トン規模ま
で広くまたがっており、免除の対象としている物量がせいぜい1トン規模であること
と比較して、大きく異なっている。さらにクリアランスレベルと免除レベルでは、そ
の算出において考慮した評価経路や評価パラメータなどが異なるため、同一核種に対
して算出された数値が桁で異なる場合もある。
このようなクリアランスレベルと規制免除レベルの整合性に関して、IAEAでは、
BSSにおいて、「規制当局は、クリアランスレベルについて、規制免除より高くなら
ないように決める」と規定している。また、対象としている物量に応じて異なるクリ
アランスレベルが規定される場合を想定すれば、年間物量が1トン程度までの比較的
少ない廃棄物について最もレベル値が高くなるが、その場合でも、IAEAの報告書「医
療、産業及び研究における放射性核種の使用によって生じる物質のクリアランス」
(TECDOC-100016)においては、国際基本安全基準免除レベルと等しい値に設定され
ている。参考として、IAEAやわが国の原子力安全委員会において原子炉施設に対して
検討された主な核種のクリアランスレベルを、国際基本安全基準免除レベルとともに
付録10に示す。
今後のわが国における放射荏何位元素等使用施設についてのクリアランスレベルを
検討する際に、以上に述べたクリアランスレベルと規制免除レベルとの整合性につい
て考慮する必要がある。
9.1 自然放射性物質の扱い
9.1.1 自然放射線源、製品・生産過程生成物質の影響
UNSCEARの2000年報告書では、自然放射線源による被ばくの世界平均は、2.4
mSv/年であると評価されている。
その内訳は、宇宙線等による外部被ばくO.39mSv/年、大地等からの外部被ばく
O.48mSv/年、ラドン等の吸入による内部被ばく1.26mSv/年及び食物摂取による内
部被ばく0.29mSv/年である。なお、同報告書の評価結果から、最も被ばくの要因
となる自然の放射性核種は、U-238、Th-232系列核種であり、年間自然被ばくの約7
割を占めている。U-238、Th-232の土壌中の放射能濃度について、人口分布を考慮し
た世界の平均値はそれぞれ33、45Bq/kgと評価されている。
生産活動においては、多くの異なった原料が使用され、それら原料中には、自然
起源の放射性物質(Naturally Occurring Radioactive Materials (以下「NOo i 」と
いう))が含まれている。リン酸鉱石産業や鉱物砂加工業などの産業においては、前
述の平均値よりも高い放射能濃度のU-238、Th-232を含む鉱物資源が原料として使
用され、製造過程で発生した廃棄物中(場合によっては製品中)の放射能濃度がさ
らに高められる場合があり、HNSCEARの2000年報告書では、付録11に示すとおり
に典型的な濃度についてまとめられている。これらの産業において、生産規模が大
きい場合には、従業員、最も近隣の住民等の被ばくが高くなる可能性がある。
同報告書では、各種産業の評価結果からリン酸鉱石産業、鉱物砂加工業では、少
数の現地住民の被ばくが最大100μSv/年に達する場合があるが一般的には、1〜lO
μSv/年であろうと報告されている。そして、自然放射線源による年実効線量への寄
与は無視できるとされている。
欧州委員会報告書(RP-68)では、放射性物質を含む一般消費財について調査を行っ
た。
これによると、EU内で一般に利用されている一般消費財のうち、ウラン、トリウ
ム等の自然放射性物質を含んでいる製品は、付録12に示すとおりであり、製品に
よっては国際基本安全基準免除レベルを上回るものも見られる。
16 Clearance of materials resulting from the use of radionuclides in medicine, industry and research., IAEA, Vienna (1998).
i NORM:用語解説(付録1)を参照
9.1.2 自然起源の放射性物質に係る規制基準に関する国際機関における最近の検討状
況
lAEAでは、規制規準のlOμSv/年のオーダーの線量では、実際のNOoのバックグ
ラウンドと区別することが困難であることから、リスクの低減と現実的な規制管理
の間には妥協が必要とされている。7.1で述べたように平成13年10月に開催さ
れたIAEA放射線安全基準委員会(RASSC)では、放射性物質を含む商品の貿易の際
に用いる介入免除レベルついて検討されているが、その検討において、自然界での
通常の範囲の上限値である1Bq/gのオーダーの濃度や、これによる数100μSv/年の
線量に基づくべきとの提案がなされた。しかしながら、NOoについてはIAEAが「1
Bq/gのオーダー」という基準を設定すると、すでに基準値を決めて運用している国
にとっては混乱を生じることになるとの意見があり、NORMの扱いについては、その
後も検討が重ねられている。
以上のように、IAEAにおいては、@NOoを含む物質の放射能濃度一放射能の算定
に係る線量の目安の定義、A対象とする物質・製品の適用範囲、B欧州内で既に基
準値を定めて運用している国との整合性、について検討が行われている。我が国は、
今後とも、IAEAでの検討に積極的に参加する必要がある。
9.1.3 自然起源の放射性物質に係る規制に関する問題点
NORMについては、ICRPの考え方によると、すでに線源、経路及び被ばくする個人
が存在する場合は、「介入」の対象として取り扱う必要がある。その場合の免除レ
ベルは、「行為 j 」を規制するための免除レベルではなく、ICRP Publ.82「長期放射
線被ばく状況における公衆の防護」でも提案されている介入の免除の考え方を用い
ることになる。また、NORMは本質的に制御が不可能である場合が多く、規制対象と
しても、ほとんどそれによる個人の被ばく線量の低減が期待できないと判断できる
ものは「除外」の対象とすることがICRP Publ.60で明確化されている。我が国にお
いても、ICRPの除外と免除の基本的な考え方に沿って、「除外」の範囲を規定する
必要がある。
しかし、NORMを用いた線源や商品を製造すること及びそれらを一般公衆に広く普
及させることは、「行為」であると考えられる。その対象物は、基本的には規制の対
象として取り扱うべきであり、その規制免除についても国際基本安全基準免除レベル
を用いて判断することになる。
ただし、規制対象の規準を規定するためには、その利用の実態を把握する必要があ
るが、NORMの利用は、9.1.1で述べたように諸外国においても多種多様にわた
っており、我が国における実態についても現在のところ必ずしも明確ではない。新た
に国際基本安全基準免除レベル値を導入する場合、現在明らかに介入や除外の対象か
ら外れているものを「行為」の規制対象とし、その他については実態を踏まえてから、
規制対象に加えるという方法をとらざるを得ない。またNORMによる被ばくについて
の介入は、現行法令の枠組みには取り込まれておらず、今後の検討課題である。
j 行為:用語解説(付録1)を参照
9.2 正当化 k されない行為についての規制
ICRPは、放射線被ばくを増やす人間の活動について、それが引き起こす放射線の
損害を相殺するに十分な便益を社会や個人にもたらすものでない限り、当該行為は
採用するべきではないという「行為の正当化」を放射線防護の基本的原則kとして挙
げている。BSSでは、付則1(付録2参照)で示した免除に関する要件を満たせるも
のは基本的には免除してよいが、正当化ができないと考えられる行為に対しては、
免除を認めてはならないと規定している。また、行為が正当化されるか否かは、基
本的に社会的、経済的など他の関連要因を考慮して判断されるものと示されている。
我が国の放射線防護に関する規制の仕組みにおいて、どのような行為が正当化され
ないかについて、その範囲を「除外」や「介入」などの課題とともに、今後検討す
る必要がある。
k 正当化、放射線防護の基本的原則:用語解説(付録1)を参照
9.3 放射線を発生する装置の規制
本報告書では、放射性同位元素の規制について検討したが、BSSでは放射線を発生
する装置などの規制の免除について以下の規定を設けている。
規制当局による認可を受けた型の放射線を発生する装置やすべての電子管につい
ては,以下のいずれかの条件を満たすこと。
@通常の使用状態で、人が触れる装置表面から10cmにおける線量率が1μSv/時 を超えない現在我が国においては、労働安全衛生法、船員法及び国家公務員法(人事院規則 10-5)で、装置の防護基準の規制対象となるのは、定格管電圧が10kV以上のエッ クス線装置である。なお、労働安全衛生法及び国家公務員法(人事院規則lO-5))での 設置の届出等の規制対象には管電圧による基準はない。また、医療法及び薬事法で は定格管電圧10kV以上のエックス線装置を防護基準及び届出等の規制対象として いる。一方、放射線障害防止法では、装置表面から10pにおける線量率が600 nSv/時を超えないか、1MeVを超えないエネルギーを有する電子線及びエックス線を 発生する装置を規制対象外としている。
A発生する放射線の最大エネルギーが5keVを超えない
当基本部会は、昨年4月以来、ICRPの勧告やIAEA等の報告書で示された免除に関
する考え方や具体的免除レベルに関し、各国の動向、国内の利用実態等も踏まえっ
つ、被ばく評価のシナリオ等様々な角度から我が国独自の調査審議を進めてきたと
ころ、放射性物質の国際間の移動に伴う国際的整合性等も考慮すれば、IAEA等が提
案した国際基本安全基準免除レベルを国内法令に取り入れることが適切との結論を
得た。
国際基本安全免除免除レベルの国内法令への取り入れは、現行の規制と異なり、
密封線源と非密封線源を区別せず同じ値を導入し、かつ、現行の規制レベルの変更
を伴うことから、現在規制対象外の放射性同位元素が新たに規制対象に加わること、
また、医療や教育、研究などの分野においては、放射性同位元素の極めて有効な利
用があることから、一律に従来方式の規制方法を適用するのではなく、IAEAの報告
書や海外の事例にあるとおり、条件付き免除のような新たな規制の仕組みも行政庁
において十分検討し、適切な規制方法を導入することが重要であると判断される。
また、ウラン、トリウム等の自然放射性物質を含む物質については、国内の利用
実態や海外の動向を十分調査したうえで、その免除レベルを調査審議する必要があ
る。また、放射線を発生する装置における免除の要件や正当化されない「行為」に
関する免除についても、今後更に本基本部会で検討することが必要である。それら
の結論も合わせ、行政庁において規制の仕組みが検討され、放射性同位元素及び放
射線を発生する装置に対する我が国の規制方法が全体としてより適切なものになる
ことが期待される。
参考資料3 免除レベルに関する放射線審議会の検討経緯
(放射線審議会基本部会)
平成11年4月28日 第80回基本部会
・放射線審議会基本部会除外と免除ワーキンググループ及び規制免除レベル計算タス
クグループの設置
| (ワーキンゲグループ会合) | (規制免除レペル計算タスクグループ会合) |
|---|---|
| 第1回 平成11年6月30日 第2回 平成11年7月12日 第3回 平成11年7月29日 第4回 平成11年8月24日 第5回 平成11年9月29日 第6回 平成11年11月4日 第7回 平成12年3月2日 第8回 平成12年3月17日 第9回 平成12年8月3日 第10回 平成12年12月27日 |
第1回 平成11年7月12日 第2回 平成11年7月27日 第3回 平成11年8月18日 第4回 平成11年9月20日 第5回 平成11年10月28日 第6回 平成12年2月2日 第7回 平成12年3月16日 |
(放射線審議会基本部会)
平成13年8月30日 第1回基本部会
平成13年10月25日 第2回基本部会
平成13年12月17日 第3回基本部会
平成14年1月17日 第4回基本部会
平成14年2月17日 第5回基本部会
平成14年2月27日 第6回基本部会
平成14年6月21日 第7回基本部会
平成14年7月11日 第8回基本部会
付録1 用語解説
本用語解説は、本報告書内で使用されている用語について本文の内容の理解を助け
るために解説したものであり、学術的や専門的な用語の定義を厳密に示したものでは
なく、一般的な用語解説と異なる場合がある。ただし、出典が記載されているものは、
この限りではない。
「免除」(Exemption)
ある放射線源について、それによる健康への影響が無視できるほど小さく、放射性
物質として扱う必要がないことから、当該放射線源について放射線防護に係る規制の
対象としないことをいう。これらの放射線源には、研究用のトレーサー、校正線源等
の少量のものや、極僅かの放射性核種を含む一般消費財のような低濃度のものがある。
これらの放射線源に起因する線量は、自然界の放射線レベルと比較しても十分小さい。
免除の判断基準となる放射性物質の放射能及び濃度を「免除レベル」という。
「除外」(Exclusion)
自然界に存在する放射線源による被ばくのように、制御できず、規制の対象として
なじまない被ばくを、規制の対象にしないことをいう。宇宙線や自然放射性物質(土壌、
空気等に含まれるウラン、ラドン、カリウムー40等〕による被ばくの大部分は、規制の
しようがないか、または規制をしても効果がほとんどないことから、除外が適用され
る。
「クリアランス」(Clearance)
規制の範囲内にある放射性物質または放射性物質を装備した機器などを、規制当局
により以後の規制の管理から外すことをいう。
その値以下ならば放射線源を規制から解放してよいとする放射性核種の数量及び濃
度を「クリアランスレベル」という。
「行為」(Practice)
ICRP1990年勧告では、r個人の被ばくや被ばくする個人の数を増やすなど全般的に
放射線被ばくを増やす人間の活動」と定義されている。本報告書では、この定義で用
いる。
「介入」(Intervention)
"放射線被ばくを低減させる人間活動"と定義され、特にすでに存在している放射
線源からの被ばくを低減するために実施される活動をいう。被ばくは、放射線源が環
境に存在し、そこへ人が立入る一連の過程で生ずるが、介入はこの線源から被ばくへ
と至る過程がすでに存在している場合(すなわち、事象が発生した後)に講じられる
低減措置である。介入が適用される事象として、自然放射線源である高濃度の屋内ラ
ドンや過去の活動に起因する残留放射能などで公衆が被ばくする状況、屋内退避・避
難などの対策がとられる事故・緊急事態発生時等がある。
「介入の免除」(Intervention exemption)と「介入免除レベル」(Intervention exempiton level)
介入の免除とは、すでに存在する線源から被ばくによる健康に対するリスクが無視
できることから、介入を行う必要がないことをいう。
ICRPは、1990年勧告において特に国際貿易の際に不必要な制限を避けるために、
輸出入が自由に許されるものと、放射線防護についてのある制限の対象となる境界線
を示すレベルとして介入免除レベルを提案した。ICRP Publ.82(1999)において、この
レベルは長期被ばくを含む公衆が使用する商品にも適用できることが示された。レベ
ルに対応する個人線量規準として、主な商品については、およそ1mSv/年であるが、
建材や食品など生活に欠かせないものは、これらと同じ規準を使うべきではなく、消
費財を使用する行為についての免除については、国際的に数十μSvの線量規準が用い
られることも、考慮するように言及している。
「放射線防護体系」(System of radiological protection)
ICRPは、1990年勧告で、放射線防護の目標を達成するために放射線防護の原則とし
て放射線防護体系を提案している。放射線被ばくを伴う行為に対して、以下の3つの
要件を挙げている。
(1)どんな行為も、その行為によって、被ばくする個人や社会に対して引き起こす損 害を相殺するのに十分な便益を生むものでなければ、採用すべきではない。 (Justification of a practice:行為の正当化)。また、介入についても以下の原則を挙げている。
(2)ある行為に関して、個人線量の大きさ、被ばくする人の数、潜在的な被ばくの可 能性の3項目についてすべて、経済的及び社会的な要因を考慮に入れながら、合 理的に達成できるかぎり低く保たなければならない(Optimization of protection:防 護の最適化)。
(3)ある行為の結果生じる個人の被ばくは、線量限度に従うべきである。また潜在被 ばくについては、何らかのリスク管理に従うべきである。(Individual dose and risk limits:個人線量限度、個人リスク限度)
(1)提案された介入は、損害よりも便益の方が大きいものであるべきである。(正 当化)
(2)介入のやり方、規模及び期間は、線量の低減による便益が、介入を行うことに よる損害を差し引いた正味の便益が最大になるように最適に設定されるべきで ある。(最適化)
「潜在被ばく」(Potential exposure)
ICRP 1990年勧告で、導入した概念で、「潜在被ばくは、起こることが確実ではない
が、ある行為を導入しまたは変更した結果として起こることが予期でき、発生確率を
定めることができる被ばく」(ICRP Publ.64)としている。
「放射能」(Activity,Radioactivity)
放射能は、専門的には以下の2通りの意味で用いられる。
(1)単位時間あたりの放射性壊変数を示し、その単位は、Bq(ベクレル)が用いら
れる。1秒間に1回放射性壊変を起こす場合に放射能が1Bqであるという。
(2)放射性物質が放射線を放出する性質を意味する。
また、一般的には、放射能が放出されるというように、放射性物質と同じ意味で用
いられることもある。
本報告書では、全般にわたり(1)の意味で用いている。
「確定的影響」(Deterministic effect)と「確率的影響」(Stochastic effects)
ICRPは放射線の人体への影響について、放射線防護上、確定的影響と確率的影響に
分類している。
確定的影響は、ある閾値以下の線量では影響が発現しないが、それを越えるとすべ
ての人に発現するような特徴をもつ影響であり、線量とともに重篤度が増加する。白
内障、皮膚の紅班、脱毛、不妊などが挙げられる。
確率的影響は、閾値の存在が確認されず、線量とともに発生の確率が増加するよう
な影響で、発がんと遺伝的影響がある。
「等価線量」(Equivalentdose) 等価線量は、組織・臓器の物理的な被ばく線量である吸収線量が同じであっても、 放射線の種類やエネルギーによって生物学的な影響の大きさが異なることを考慮して、 放射線の確率的影響を共通の尺度で評価するために人体影響を評価するための量とし てICRP1990年勧告において導入された。等価線量は、組織・臓器の吸収線量に放射線 荷重係数と呼ばれる係数を乗じて算出する。放射線荷重係数は、例えぱ、ガンマ線や 電子線では、そのエネルギーに関係なく1であり、中性子は、そのエネルギーに応じ て5〜20、アルファ線の場合は20を用いる。単位は実効線量と同じSv(シーベルト) を用いる。 吸収線量とは物質や人体の単位質量あたりに放射線により与えられたエネルギーの ことで、単位は、グレイ(Gy)が用いられ、1kgに1Jが与えられたときの吸収線量は 1Gyである。
「実効線量」(Effective dose)
確率的影響が発生する確率は、人体が受ける被ばく線量とともに増加するが、単純
に物理的な被ばく量と比例するわけではなく、同じ線量であっても人体のどの臓器に
被ばくするか、また部分的な被ばくや全身的な被ばくによって影響の発生確率が異な
る。ICRPは、これらを考慮するために導入した線量概念が実効線量である。その定義
は、下に示すように、被ばくしたすべての臓器の等価線量(用語解説参照)にその臓
器についての組織荷重係数という係数を乗じた値を全身について総和した値である。
「線量拘束値」(Dose constraint) ICRP1990年勧告で導入した概念で、ある線源に対する放射線防護方策を検討する場 合に、その線源からの被ばく線量をできる限り低く(最適化)するための目標とする ための制限値のこととである。線量限度は、規制の対象となる関連するすべての行為 による個人の被ばく線量の合計についての限度であるのに対し、線量拘束値は、ある 一つの行為に関係する特定の線源により与えられる線量の制限に用いられるものであ る。例えば、ある公衆に対して、複数の事業所の活動が被ばくを与える場合に、その 公衆の線量限度である1mSv/年をある割合でそれぞれの事業所で割り振して制限を行 うが、その割り振り値が線量拘束値である。
「集団実効線量預託」(Collective effective dose commitment)
集団線量(Co11ectivedose)とは、ある被ばくする集団を考える場合に、集団の全般的
な放射線被ばくの大きさを評価するための量である。集団を構成する個人の線量の総
和で示され、単位は人・Svを用いる。
ある被ばくが伴う活動(行為)が、長期にわたる被ばくを与えたり、また行為自体
が無期限に行われる場合があるが、そのような場合の実効線量を評価するために、被
ばくした人の被ばくの開始から無限にわたる実効線量を実効線量預託と呼んでいる。
集団実効線量預託とは、集団線量について、実効線量預託で評価する場合に用いる量
であり、単位は人・Svを用いる。
「リスク」(Risk)
本報告書で用いる「リスク」の意味は、単純に危険度または悪い事象の発生確率で
ある。「放射線リスク」は「ある個人に特定の放射線による影響を生じる確率」とい
う意味で用いる。ICRP1990年勧告までは、委員会で上記の意味で用いてきたが、この
勧告において、様々な分野でそれぞれの違った定義で用いられているので、誤解を招
く可能性があることから、具体的に「生涯がん死亡確率」などの用語が用いられてい
る。
「娘核種」(Daughter,progeny)
ある放射性核種が、放射性壊変により他の核種に壊変する場合において、元の核種
を親核種と呼び、壊変後の核種を娘核種(Daughter)または子孫核種(Pmgeny)と呼ぶ。
「永続平衡」(Secular eqnilibrium)
親核種の半減期が、娘核種の半減期に対して、十分に長い場合は、その親核種の放
射能が変化しないような期間での観察では、娘核種の放射能も変化せず、親核種のそ
れと等しくなる。このような状態を永続平衡という。例えば、自然に存在するトリウ
ム系列の核種については、親核種の232Thの半減期が約1.4×10m年であり、その壊変
後に生成する核種の半減期がこれに比べて十分短いので永続平衡の状態となっている
ので、同じ場所に存在する娘核種の放射能は、親核種の放射能に等しい。
「バックグラウンド」(Background)
バックグラウンドとは、注目する放射線源以外のすべての線源による線量や線量率
のことである。自然バックグラウンドは、制御ができない自然放射線源または環境の
いかなる線源からの線量や線量率を示す。(IAEA Safety Glossary,2000による)
「一般消費財」(Consumer goods)
本報告書では、規制の対象とはなっていないもので、放射性物質が意図的に添付さ
れ、被ばくを生じうるような機器製品をいう。これらの機器製品は、コンシューマグ
ッズ(ConsumerG oods)、コンシューマプロダクト(Consumer Prodncts)、コモディティ
(Commodity)などの用語で呼ばれている。
「NORM」(Naturally Occurring Radioactive Materials)
自然起源の放射性物質で、詳細な定義としては、自然に存在する放射性核種を含み、
それ以外の放射性核種について有意な量を含まない物質のことである。(IAEA Safety
Glossary,2000による)
「生化学トレーサー」(Tracers in biochemical research)
放射性核種は、微量でも測定が可能であるため、それを追跡子(トレーサー)とし
て、その動きや分布を調べることができる。このある物質を構成する元素を放射性核
種に置き換えたり、ある物質に放射性核種を結合させることによって、その物質の生
体内での生化学的な動態や分布を調べるためのものを生化学トレーサーという。
「ラジオイムノアッセイ」(radioimmunoassay) 生体に入った異物に対して特異的に結合する抗原抗体反応を利用し、放射性物質を 用いて、微量物質の量を試験管内で測定する方法である。この方法は、例えばインシ ュリンのようなホルモンの量や薬物の血中濃度の測定などに利用されている。
免除規準
1-1. 行為と行為に伴う線源は、その線源がこの付則に定める免除規準または免除 レベルあるいはこれらの免除規準に基づいて規制当局が定めたその他の免除レベ ルに合っていることを規制当局が納得した場合、届出、登録または許可を含むこ の基準の要件から免除してもよい。
1-2. 免除のための一般原則は、以下に示すとおりである。
(a)免除された行為または線源に起因する個人の放射線リスクが規制との関連
がないほど十分に小さい
(b)免除された行為または線源が、一般的な状況において規制当局による管理
が正当化されることがないほど、集団全体の放射線影響が十分に小さく、
そして
(c)免除された行為と線源は本質的に安全であり、(a)と(b)の規準に合わない
ようなシナリオになる可能性が少しもない。
1-3. 行為または行為に伴う線源は、すべての実行可能な状況下において以下の規
準に合う場合には、更なる考慮なしに免除してもよい:
(a)その免除された行為または線源により公衆の構成員が受けると予想される
実効線量が、年間10μSvのオーダーかまたはそれより小さい、そして
(b)1年間の行為の履行により預託される集団実効線量がおよそ1人・Svを超え
ないか、あるいは防護の最適化の評価により、免除が最適な選択肢である
ことが示される。
免除される線源及び免除レベル
1-4. 1-1から1-3の規準の下では、行為に伴う以下の線源は、さらなる考慮
なしに、届出、登録及び許可の要件を含むこの規準の要件から自動的に免除され
る:
(a)いかなる一時期にも、施設内に存在するある核種の総放射能または行為で
使われる放射能濃度のいずれかが、付則1の表1-1に示した免除レベル 17
を超えない放射性物質、そして
(b)規制当局に認可された型式の放射線を発生する装置及び画像表示用陰極線
管のようなすべての電子管で、以下の条件を満たすもの:
(i)通常の運転状態において、人が触れる装置表面から0.1mの距離におけ
る周辺線量当量率または方向性線量当量率のどちらか適切なものが1
μSv/時を超えない、または
(A)発生する放射線の最大エネルギーが5keVを超えない。
1-5. 放射性物質の物理的または化学的形態及び使用または処分に関連する条件の
ように、規制当局の定める条件によっては、条件付き免除を認めても良い。特に、
このような免除は、以下の条件下で、1-4項(a)では免除されないような放射性
物質を含む機器について認めてよい:
(a)規制当局によって認可された型式のもの;
(b)放射性物質が、他のものとのいかなる接触やその漏洩を有効に防止する密封
線源の形態である。ただし、このことは、例えばラジオイムノアッセイに用
いられる少量の非密封線源の免除を妨げない;
(c)通常の運転状態において、人が触れる装置表面からO.1mの距離における周
辺線量当量率または方向性線量当量率のどちらか適切なものが1μSv/時を
超えない;そして
(d)処分のために必要な条件が規制当局によって定められている。
1-6. 認可された行為や線源からの放射性物質で、環境中に放出が認められたもの は、規制当局が別に定めない限り、届出、登録または許可のいかなる新しい要件 からも免除される。
表1-1省略(付録4参照)
17 付則1の表1-1に示すガイダンスとしての免除レベルは次の考察によるものである:(a)これ
らは(i)1-3項の規準と、(A)一連の制限的な使用と処分のシナリオに基づいた保守的なモデル
を用いて導かれている。放射能濃度と全放射能の値は、中位の物質量に対するあらゆるシナリオの
中で計算された最低値を表す。(欧州委員会文書(RP-65)参照)(b)自然核種が除外されていない場
合、これらの核種に対する免除の適用は、自然生成核種を一般消費財に含めること、それらを放射
線源として使用すること(例えばRa-226,Pb-210)またはそれらの元素としての性質のために使用
すること(例えばトリウム、ウラン)に限定される。(c)2種以上の放射性核種の場合、各放射性核
種の放射能または放射能濃度と、それらに対応する免除放射能または免除放射性濃度との比の適切
な合計を考慮しなけれぱならない。(d)しかし、放射能濃度が表1-1のガイダンス免除レベルよ
り低い物質の大量の免除は、その被ばくが除外されていない限り、規制当局によるさらなる考察が
必要である。
付録3 国際基本安全基準免除レベルの算出に関する共通事項とシナリオ別計算内容
1)被ばく計算上の共通事項
各被ばく経路における被ばく線量の計算では、共通した前提条件、計算方法及
び評価パラメータの値を用いる。
@外部被ばく線量評価
(1)皮膚等価線量の評価深さ:γ線(7mg/cm2),β線手のひら(40g/cm2)そ
の他、顔など(4mg/p2)
(2)線源と接触している場合の皮膚の等価線量評価方法
皮膚の等価線量=As×T×R(β線及びγ線の両者による被ばくがある場合
は両者の和)
As:放射能面密度[Bq/p2]=放射能濃度×線源物質の質量/接触面積
=放射能/接触面積
=放射能×移行割合/汚染面積
T:被ばく時間[時/年lR:線量換算係数[(Sv/年)/(Bq/p2)]
線源と皮膚との接触面積は、被ばく形態に応じて以下のように評価する。
(ア)線源取扱時
| 接触面積= | M |
| ρ・(t/2) |
| 接触面積= | m |
| ρ・t |
(3)皮膚被ばくによる実効線量の計算
| 実効線量(皮膚)=皮膚等価線量×組織荷重係数× | 接触面積 |
| 全身皮膚面積 |
(4)全身被ばくの実効線量計算
(ア)被ぱく距離:1m
(イ)被ばく経路により、線源形状を点線源、無限厚平板、無限平板または半無
限雲に近似し、それらの単位放射能濃度あたりの実効線量(皮膚を含む)へ
の換算係数を、線源の1壊変あたりの平均エネルギーを考慮して設定する。
無限厚平板 γ線:3×10-7[(Sv/時)/((Bq/g)・MeV)]
β線:エネルギーに依存する。
半無限雲γ線:1.6×10-6[(Sv/年)/((Bq/皿3)・MeV)]
β線:2×lO-6[(Sv/年)/((Bq/皿3)・MeV)]
(ウ)体積線源や有限面積線源の場合、無限平板等の換算係数に幾何学的補正係
数を乗じて評価する。
(エ)β線は、場合により遮へい効果を考慮するが、γ線については遮へいを考
慮しない。
A内部被ばくによる預託実効線量
(1)呼吸率:1m3/時(作業者、公衆)
(2)預託実効線量係数:ICRP Publ 60に基づくNRPBの計算値
B事故の発生確率と被ばく時間
(1)事故の発生確率は、0.01/年とする。
(2)作業場所における事故時の被ばく時間は、10分とする。
2)シナリオ別計算内容
A放射能濃度に関する免除レベル算出のための被ばく経路
Al作業場所における通常使用シナリオ
A1.1線源取扱による外部被ばく
作業者が作業日の1〜5%の時間、線源を手で取扱う場合における手のひ
ら皮膚の年等価線量及び皮膚被ばくによる年実効線量を算出する。計算条
件等は以下のとおりである。
@被ばく時間:25時間/年
A線源物質の質量:30g(固体)、6.15×10-4g(気体)
B線源物質の密度:1.12g/cm3(樹脂)
C線源の厚さ:0.3p
D遮へいなし
Al.2 1m3線源からの外部被ばく
作業者が約1m3の線源から1mの地点で被ぱくする場合の年実効線量を算
出する。計算条件等は以下のとおりである。
@被ばく時間:100時間/年
A線源からの距離:1m
B線源容器によるβ線遮へい係数:0.1
C線量換算係数:無限厚平板用
D幾何学補正係数:0.02(無限厚平板を体積線源に補正)
A1.3 気体容器からの外部被ばく
作業者が気体容器から1mの地点で被ばくする場合の年実効線量を算出
する。計算条件等は以下のとおりである。
@被ばく時間:100時間/年
A線源からの距離:1m
B線源容器によりβは完全に遮へいされる。
C線量換算係数:無限厚平板用
D幾何学補正係数:3×10-3(無限厚平板を体積線源に補正)
E気体容器:0.1m3の固体線源に近似する。
A1.4 ダストの吸入摂取
作業者が適切に空調された室内で、汚染されたダストを吸入摂取して被
ばくする場合の1年間の預託実効線量を算出する。計算条件等は以下のと
おりである。
@吸入時間:2000時間/年
Aダスト濃度:0.04r/m3
B呼吸率:1m3/時
A1.5 汚染した手からの経口摂取
作業者が適切に空調された室内で、汚染されたダストの沈着した床また
は壁を手で触れることにより汚染物質を経口摂取して被ばくする場合の1
年間の預託実効線量を算出する。計算条件等は以下のとおりである。
@摂取時間:250日/年(2000[時間/年1/8[時間/日])
Aダスト沈着量:1.28mg(室内の全ダストが床または壁に沈着すると仮
定する。)
Bダスト摂取量:32mg/年(沈着ダストのlO%が口に入ると仮定する。)
A2 作業場所における事故シナリオ
作業場所において事故時の被ばくは、発生確率等を考慮すると、通常作業
時における被ばくを超えることは想定でされないので、評価を省略する。
A3 処分場での公衆被ばく
公衆が、放射線源が廃棄された処分場に立ち入って被ばくする。処分場は、
小規模なものを想定(面積O.01q2、処分量1.5×104トン)する。
線源の使用終了から処分場への廃棄まで24時間かかるとする。
A3.1 処分場からの外部被ばく
公衆が処分場の上を歩いているときに、地面から被ばくする場合の年平
均実効線量を算出する。計算条件等は以下のとおりである。
@被ばく時間:300時問/年
A線源からの距離:1m
B発生確率:0.01/年
C線量換算係数:無限厚平板用
D放射能濃度計算:
| 放射能濃度[Bq/g]=線源濃度× | 線源重量 | 減辰補正係数 |
| 廃棄物重量 |
A3.2 処分場からのダストの吸入摂取
公衆が処分場の上を歩いているときに、線源で汚染されたダストを吸入
摂取して被ばくする場合の年平均預託実効線量を算出する。計算条件は以
下のとおりである。
@被ばく時間:1時間/年
A発生確率:0.01/年
B空気中ダスト濃度:1mg/m3
C呼吸率:1m3/時
D放射能濃度計算:
| 放射能濃度[Bq/g]=線源濃度× | 線源重量 |
| 廃棄物重量 |
A3.3 処分場での経ロ摂取
公衆が処分場の上を歩いているときに、線源の一部をまたは汚染された
土壌に触れた手から経口摂取して被ぱくする場合の年平均預託実効線量を
算出する。計算条件は以下のとおりである。
@年間摂取量:1g/年
B 放射能に関する免除レベル算出のための被ばく経路
B1 作業場所における通常使用シナリオ
B1.1 点線源からの外部被ばく
作業者が小線源から1mの地点で被ばくする場合の年実効線量を算出す
る。計算条件は以下のとおりである。
@被ばく時間:100時間/年(液体及び飛散性固体)
:200時間/年(非飛散性固体、カプセル、箔)
A線源からの距離:1m
B線量換算係数:点線源用
B1.2 線源取扱による外部被ばく
作業者が毎日約2〜3分間線源を取扱うことにより被ばくする場合の手
のひら皮膚における年等価線量及び皮膚被ばくによる年実効線量を算出す
る。計算条件は以下のとおりである。
@被ぱく時間:10時間/年(全ての線源)
Aガラスバイアル(液体線源容器)によるβ線遮へい係数:SF
SF=exp(μd)
μ:O.017×Eβmax-1,14、∫1・14、d:150mg/cm2
B2 作業場所における事故シナリオ
B2.1 飛散:汚染した手からの外部被ばく
作業者が事故的に線源を全量こぼしたことによる被ばくする場合の手の
皮膚における年平均等価線量及び皮膚被ばくによる年平均実効線量を算出
する。計算条件は以下のとおりである。
@被ばく時間:10分
A発生確率:.0.01/年
B放射能面密度計算:
液体:飛散前の線源重量10g、密度1g/p3、
手への移行割合0.1、手の汚染した厚さ0.01p
接触面積100p2
粉末:飛散前の線源重量30g、密度0.5g/cm3、
手への移行割合0.1、手の汚染した厚さ0.01p
接触面積600p2
B2.2 飛散:汚染した顔からの外部被ばく
作業者が事故的に線源を全量こぼしたことにより被ばくする場合の顔の
皮膚における年平均等価線量及び皮膚被ばくによる年平均実効線量を算
出する。計算条件は以下のとおりである。
@被ばく時間:10分
A発生確率:0.01/年
B放射能面密度計算:
液体:飛散前の線源重量10g、密度1g/cu、
顔への移行割合0.01、顔の汚染した厚さ0.001p
接触面積100p2
粉末:飛散前の線源重量30g、密度0.5g/cm3、
顔への移行割合0.01、顔の汚染した厚さ0.001cm
接触面積600cm2
B2.3 飛散:汚染した床面からの外部被ばく
作業者が事故的に線源を全量床にこぼしたことにより被ばくする場合の
年平均実効線量を算出する。計算条件は以下のとおりである。
@被ばく時間:10分
A線源からの距離:1m
B発生確率:0.01/年
C汚染面積:7m2(半径1.5mの円状)
D線量換算係数:無限平板用
E幾何学補正係数:0.1
B2.4 飛散:汚染した手からの経口摂取
作業者が事故的に液体または粉末の線源をこぼし、手に付着した放射性
物質を経口摂取することにより被ばくする場合の年平均預託実効線量を算
出する。計算条件は以下のとおりである。
@発生確率:0.01/年
A摂取量:全放射能の1×10-5
B2.5 飛散:再浮遊放射能の吸入摂取
作業者が事故的に液体または粉末の線源をこぼし、発生した汚染ダスト
を吸入摂取することにより被ばくする場合の年平均預託実効線量を算出す
る。計算条件は以下のとおりである。
@吸入時間:10分
A発生確率:0.01/年
B線源の質量:100g
Cダスト濃度:5mg/m3
D呼吸率:1m3/時
B2.6 飛散:エアロゾル、ダスト雲からの外部被ばく
作業者が事故的に液体または粉末の線源をこぼし、発生したエアロゾル
またはダストの雲により被ばくする場合の年平均実効線量を算出する。計
算条件は以下のとおりである。
@被ばく時間:10分
A発生確率:0.01y-1
B線量換算係数:半無限雲用
C放射能濃度計算:
液体:放射能(1Bq)×飛散率×揮発割合/部屋の容積
固体:放射能(1Bq)×飛散率/部屋の容積
飛散率:1(液体)、5.3×10-3(固体)
部屋の容積:32m3
B2.7 火災:皮膚の汚染
火災により発生した灰や液滴が沈着して汚染を形成し、これが作業者の
顔や手の甲に付着して皮膚が被ばくする場合の年平均等価線量及び皮膚被
ばくによる年平均実効線量を算出する。計算条件は以下のとおりである。
@被ばく時間:10分
A発生確率:.0.01/年
B線量換算係数:半無限雲用
C放射能面密度計算:放射能(1Bq)×移行割合/汚染面積
移行割合:1(液体)、0.01(その他)
汚染面積:2000cm2(液体)、200cm2(その他)
汚染面積の計算条件
線源重量:100g、密度:0.5g/cm3
汚染への移行割合:1(液体)、0.01(その他)
汚染の厚さ:0.01p
B2.8 火災:ダスト、揮発性物質の吸入摂取
火災により発生したダストや揮発性物質が部屋に充満し、これを作業者
が吸入することにより被ばくする場合の年平均預託実効線量を算出する。
計算条件は以下のとおりである。
@被ばく時間:10分
A発生確率:0.01/年
B呼吸率:1m3/時
C放射能濃度計算:放射能(lBq)×移行割合/部屋の容積
移行割合:1(液体)、0.01(その他)
B2.9 火災:燃焼生成物からの外部被ばく
火災により発生したダストが部屋に充満したことにより作業者が被ばく
する場合の年平均実効線量を算出する。計算条件は以下のとおりである。
@被ばく時間:10分
A発生確率:0.01/年
B線量換算係数:半無限雲用
C放射能濃度計算:放射能(1Bq)=×移行割合/部屋の容積
移行割合:1(液体)、0.01(その他)
B3 処分場での公衆被ばく
B3.1 処分場からの外部被ばく
公衆が処分場の上を歩いているときに被ばくする場合の年平均実効線量
を算出する。計算条件等は以下のとおりである。
@被ばく時間:300時間/年線源からの距離:1m
A発生確率:0.01/年
B線量換算係数:無限厚平板用
C放射能濃度計算:
| 放射能濃度[Bq/g]= | 線源放射能 | ×減衰補正係数 |
| 廃棄物重量 |
B3.2 処分場からのダストの吸入摂取
(1)事故
公衆が処分場の上を歩いているときに、無希釈線源1gから発生した
ダストを吸入摂取して被ばくする場合の年平均預託実効線量を算出する。
計算条件は以下のとおりである。
@吸入時間:1時間
A発生確率:0.01/年
B空気中ダスト濃度:1mg/m3
C呼吸率:1u/時
D放射能濃度計算:
| 放射能濃度[Bq/g]= | 線源放射能 | ×減衰補正係数 |
| 線源重量 |
(2)通常
処分場の近くに居住する公衆が、土壌で希釈された線源から発生したダ
スを吸入摂取して被ばくした場合の年預託実効線量を算出する。計算条
件は以下のとおりである。
@吸入時間:5000時間/年
A空気中ダスト濃度:0.2r/m3
B呼吸率:1m3/時
C放射能濃度計算:
| 放射能濃度[Bq/g]= | 線源放射能 | ×減衰補正係数 |
| 土壌の重量 |
B3.3 処分場の物の取扱いによる皮膚の被ばく
公衆が処分場の上を歩いているとき、汚染された物を拾い、それをポケッ
トに入れた状態で被ばくした場合の皮膚の年平均等価線量及び皮膚被ばくに
よる年平均実効線量を算出する。計算条件は以下のとおりである。
@被ぱく時間:8時間
A発生確率:0.01/年
B放射能面密度計算:
汚染物の重量30g、密度1.12g/p3(樹脂)
汚染の厚さ0.3p、接触面積178cu
B3.4 処分場での経口摂取
公衆が処分場で汚染された土壌に触れた手から経口摂取するか子供が誤っ
て汚染物を呑み込んだことにより被ばくする場合の年平均預託実効線量を算
出する。計算条件は以下のとおりである。
@摂取割合:0.001
付録4 免除レベルー覧
(1)各報告書等で示されている免除レベルの核種数及び法令で規定されている空気
中濃度限度等の核種数
| NRPB(英国放射線防衛庁報告書NRPP-R306) | ST-1(IAEA放射性物質安全輸送規則Safety Standards Series No・ST-1) | BSS(IAEA電離放射線に対する防護及び放射線源の安全のための国際基本安全基準) | 法令(放射線障害防止法:放射線を放出する同位元素の数量等を定める件:別表第1) | |
| 核種数 | 765 | 366 | 295 | 1020 |
| 免除レベル数* | 787 | 382 | 298 | 2179** |
付録8 我が国における定義数量以下の放射性同位元素の使用実態
1)集電式電位測定器:高分子材料等の静電気電位測定器。静電気の帯電によっ
て引き起こされる爆発、引火、吸引、反発等の障害や災害を未然に防ぐために
必要な機器である。
2)エアロゾル中和器:サブミクロン領域のエアロゾルについて、粒子の粒径分
布を短時間で詳細に測定する機器の平衡荷電器に使用されている。
この機器は、大気エアロゾルの研究、フィルターの捕集効率試験、環境汚染
の研究等に利用されている。
3)非接触厚さ計(透過型):プラスチックシート、紙、布、金属箔等の厚さ測
定に使用されている。
4)膜厚測定器(散乱型厚さ計):メッキやコーティングの厚さを非破壊的にし
かも非接触で測定できる。
5)浮遊粒子状物質自動測定装置:大気汚染測定器に組み込まれ、JISB7954「大
気中の浮遊粒子物質自動計測器」に基づいたβ線吸収法により測定を行う。
6)携帯型液化ガス液面レベル計:船舶、ガレージ、変電所、ビル等に設置され
ている消火装置(炭酸ガスシリンダー)内の液化炭酸ガスの検量用として開発
され、測定対象物を動かすことなく容易に測定できる。
7)スケールチェッカー:配管中のスケール(付着物)の堆積、付着状況を非破
壊で測定できる。
8)配管密度計:既設プラント配管に外部から締め付けて固定し、配管中の流体
の密度が測定できる。スラリー(泥水、セメント、汚泥等)の密度管理がでる。
9)コア密度計:高圧鉄塔の基盤コンクリート等、遠隔地での密度測定が可能で
ある。
10)γ線密度計:地盤内密度分布の測定、トンネルの掘削時の密度測定など遠隔
地での測定が可能である。
11)バルブ開閉探知機:プラントにおいて、バルブの開閉状態を確認する。
12)RI水分・密度計:土の湿潤密度及び水分密度(含水量)を短時間で、かっ
工事現場で測定できる。日本道路公団の仕様書に本装置を用いた土木工事の締
め固め管理方法が記載されている。
13)水分計:地盤・コンクリートの水分管理を工事現場で容易に測定できる。同
じ原理でガス・水道管判別装置もある。
14)Xeガス検出器:医療に用いられ、Xeガスを蛍光X線分析する。
15)密度検層装置:散乱型密度計。ボーリング孔内に入れて、ボーリング孔壁の
密度を測定する。
放射線測定器は放射性同位元素を用いて機器の測定効率の校正、正常な動作の確
認をする必要がある。通常これらに用いられる線源としては定義数量以下の放射性
同位元素が用いられている。
1)機器校正用線源
@α、β、γ線測定器校正用線源:半導体検出器、プラスチック検出器等の測
定効率決定用
A線量率基準線源:モニタリングポストの校正用
B外部標準線源法用線源:液体シンチレーション測定装置用
2)機器の動作確認用線源
@モニタ動作確認用線源:エリアモニタ、排気・排水モニタの動作確認用
Aサーベイメータ動作点検用:サーベイメータの動作点検用
Bマーカ線源:ガンマカメラ等の位置確認マーク用
C標準光源:TLD読み取り器の標準光源用
1)IRR1999における型式承認
@職場、倉庫における煙感知器(Am-241)2件
A自発光表示灯(self-luminous sign)1件
2)RSA1993における免除令(Exemption Order)
@低放射能物質(Substances of Low Activity)
A電子管(Electronic Valves)
B検査機器(Testing Instruments)
C煙感知器(Smoke Detectors)
D自発光物質(Luminous Articles)
Eトリチウムライト(Gaseous Tritium Light Devices)
Fウラン、トリウム、鉛、リン酸等の自然放射性物質
G病院及び学校における使用、展示、一時的保管
ドイツにおいては、2001年7月の電離放射線防護令の改正により、田S免除レベ
ルが取り入れられた。
免除レベルが定められた核種数は、BSSの295核種、NRPB-R306の470核種の合
計765核種であり、放射能(Bq)、放射能濃度(Bq/g)の両者につき、BSSと同様に、1
×10Nの形で与えられている。日SSとNRPB-R306間にある内部被ばく線量係数など算
定のパラメータの違いがあるものの、再計算することはなく、それぞれの値をその
まま採用している。
免除レベル変更に関する従前との整合性の問題については、猶予期間(経過措
置)として2年間を設定し、一般的な規制免除、条件付規制免除の両方について対
応するとしているが、新規の型式承認の完了には約2年間を要し、変更手続きの頻
度によっては対応が完了するかという問題が考えられる。
一般消費財、密封線源の条件付規制免除の具体的対応としては、型式承認の方法
で行っている。新しい防護令における型式承認では、@密封されていること、A放
射性物質に触れないよう被覆されていること、B表面からO.1mの線量率が1μSv/h
を超えないこと、C放射能が免除量の10倍を超えないこと、とされており、実際の
評価機関は連邦物理技術研究所(PTB)である。
ドイツの型式承認の手続きと義務について、その概要について以下に述べる。
1)型式承認申請の具体的な手順となっている。 申請手続きは、型式承認を受けたい旨を申し出る簡単な手紙からはじめられ る。特定の様式はない。国際標準化機構(ISO)及び国際電気標準会議(IEC) の標準化を取り入れたため、従前より評価は簡素化されている。
@申請書(その旨を記載した手紙)を地方規制当局及びPTBに送付する。
APTBが技術的な評価を行うため、申請する物品の見本2点を提出する。1点 は放射能が実際にあるもの、もう1点はダミー線源のものである。従来型式 承認されていたもので放射能の変更のみを行うような場合は提出しなくて良 い場合がある。
BPmの評価により問題がない場合は、地方当局より承認の通知が来る。
C承認された物品は、州ごとに発行されている官報に公示される。
2)型式承認取得者の義務と規定されている。
@品質管理を実施すること。
A品質管理の監督を受けること。
B機器の所有者に、承認証明書のコピーを渡すこと。
C機器の所有者に、使用及び廃棄にあたって行うべき使用説明書を渡すこと。
D機器を使用終了後、引き取ることを保証すること。
3)機器所有者の義務と規定されている。
@証明書のコピー、線源の密封性試験の結果を保管しておくこと。
A譲渡する場合には、承認証明書、使用説明書を引き渡すこと。
B10年ごとに線源の密封性試験を行うこと。
米国については、連邦規則(10CFR)により規制が行われており、免除については、
Part30(副産物の国内許認可に対する一般規定)に、緩い規制である一般認可につい
ては、Part31(副産物の国内一般認可)に、一般認可物品製造については、Part
32(副産物を含む物品製造のための特定認可)に関連事項の記載がある。
免除数量は、核種毎に0.1から1000μciまで5段階に区分されている。1000μ
Ci(37MBq)の核種は、Cs-131,Cr-51,F-18,H-3,Xe-131m,Zn-69の6核種である。
1)機器等の一般消費財で規制免除されているものであり、製造者は特定認可を取得する必要がある。 認可には、一般認可及び特定認可の2種類がある。特定認可は我が国の許可に相 当するもので、NRCへの申請によって発行され、被認可者には記録、検査及び報告等 の義務が課せられる。
@時計
放射能が下記の値を超えず、かつ放射線レベルが下記の値を超えないもので ある。
H-3:本体 25mCi(925MBq),
指針 5mCi(185MBq),
文字盤 15mCi(555MBq),
Pm-147:腕時計本体 100μCi(3.7MBq),
指針 20μCi(740kBq),
文字盤 60μCi(2.22oq),
その他の時計は各2倍の値)
・Pm-147を含む指針及び文字盤からの放射線レベルを、50mg/cm2の吸収板を おいて測定した場合
腕時計に対し、10pの距離で0.1mrad/h(1μGy/h)
懐中時計に対し、lcmの距離で0.1mrad/h(1μGy/h)
その他の時計に対し、10pの距離で0.2mrad/h(2μGy/h)
A鍵穴照明具
自動車に設置H-3:15mCi1555MBq)以下,
Pm-147:2mCi(74MBq)以下
・Pm-147使用の場合、lcmの距離で、50r/p2の吸収板を通して測定した場 合、1皿rad/h(10μGy/h)以下
B精密天秤
1台H-3:1oCi(37MEq)以下,
部品1個H-3:0.5mCi(18.5MBq)以下
C自動車のシフトレバーH-3:25mCi(925o)以下
D船舶用
羅針盤H-3ガス:750mCi(27.75GBq)以下,
航行装置H-3:250mCi(9.25GBq)以下
E自動温度調節器のダイアル及びポインタ
1調節器H-3:25mCi(925oq)以下
F電子管H-3:10mCi(370MBq)以下,
超短波受信機保護管 H-3:150mCi(5.55GBq)以下,
Co-60:1μCi(37kBq)以下,
Ni-63:5μCi(185kBq)以下,
Kr-85:30μCi(L11MEq)以下,
Cs-137:5μCi1185qlq)以下,
Pm-147:30μCi(1.HMBq)以下
表面からlcmの距離で、7mg/cm2の吸収板を通してlmrad/h(10μ Gy/h)以下
G放射線測定器に内蔵された校正用線源
規制免除数量以下のもの
H火花間隙照射器油消費量11.4L/時以上のオイルバーナーの電気点火器に 使用するものCo-60:1μCi(37kEq)以下
2)一般認可
一般認可は、NRCへの申請または特定の者への認可証の発行なしに有効なもの であって、次の物品中に含まれたものの所持と使用及び所有に対して与えられ るものである。
@500μCi(18.5MBq)以下のPo-210を含む静電気除去器
A500μCi(18.5MBq)以下のPo-210または50mCi(L85GBq)以下のH-3を含むイ オン発生器
B放射性物質を装備したゲージング用機器
C10Ci(370GBq)以下のH-3または300mCi(11.1GBq)以下のPm-147を含む航空 機用の自発光安全装置
D校正用のAm-241標準線源
E50μCi(1.85MBq)以下のSr-90を含む着氷検出器
Fインビトロ試薬
1単位10μCi1370kBq)以下の1-125,1-131,C-14,Se-75,
1単位50μCi(1.85oq)以下のH-3,
1単位20μCi(740kBq)以下のFe-59
ただし、H-3,c-14以外は総量が一時に200μCiを超えて所持してはならない。 医療行為(獣医療を含む)以外に使用してはならない。
G標準線源
50nCi(1.85kBq)以下のT-129
5nCi(185Bq)以下のAm-241を含む1-125擬似線源3)一般認可されたゲージング用機器の使用に当たっての使用者及び製造販売業 者の義務
@使用者の義務
(1)特定認可された製造販売業者または他の一般認可された者からのみ譲り受 けること。
(2)装置に添付されている、使用説明及び予防措置について記載されている表 示をはがさないこと。
(3)放射性物質の漏えい試験、機器のシャッター開閉機能試験を、6月間また は表示に示されている期間を超えない期間ごとに実施すること。
(4)漏えい(5nCi(185Bq)以上)、機器の異常等があったならば、特定認可を 得ている製造業者に措置を依頼するとともに、規制当局に30日以内に報 告する。
(5)機器を廃棄してはならない。
(6)許可を得た場合を除いて、輸出してはならない。
(7)特定認可を得ている者に戻した場合や輪出した場合には、規制当局に30 日以内に報告しなければならない。
(8)異常時には30日以内に連絡しなくはならない。ただし、他の放射線防護 基準は適応されない。
(9)機器の取扱及び法令について十分知識があるものを任命しなければならな い。
(10)所持の報告をする。
A製造販売業者の義務
(1)申請書に設計、製造方法、プロトタイプテスト、品質管理、使用方法、設 、置方法、漏えい検査及び安全教育等について記載するとともに、十分な知 識がなくても安全に使用できること、通常の使用状態で容易にまた、誤っ て線源がはずれないこと及び被ばくが年限度の10%を超えないこと、異常 時(火災など)でも全身で150mSvを超えないことを示す。
(2)安全な使用方法、漏えい検査、開閉機能検査について及び型式番号、製造 番号、「注意-放射性物質」、製造業者氏名を記載した耐久性のある明確 なラペルを添付する。
13)使用者に10CFRの条文コピー、製造業者が実施できるサービスのリスト、 廃棄に係る概算見積を含む情報、規制当局への連絡先等に関することを提 供する。
4)一般認可された物品の使用に当たっての使用者及び製造販売業者め義務(ガ スクロマトグラフ用のエレクトロン・キャプチャ・ディデクタ(以下「ECD」と いう)についての製造販売業者及び使用者の義務について)
@使用者の義務
(1)使用者がガスクロマトグラフEcnを使用するためには、NRCにより「一般 ・認可」されたガスクロマトグラ,ブEpを製璋販売業者から購入すること。
(2)規制官庁に使用の届出め義務はない。
(3)「一般認可マニュ」アル」に記載ぎれでいる取扱上の注意事項等を守ること に同意する旨の確認書を販売業者に提出する。
(4)6月毎のスミアテストの実施瓦びその記録を保存(2〜3年)する。
(5)線源の分解の禁止。
(6)準意事項を記載したラペルをはがさない。
(7)特定の者に取り扱わせる。
(8)異常時には30日以内に報告する。
A販売業者の義務
(1)プロトタイプの性能テスト、使用方法、製造方法及び使用者に対する取扱 説明書等を述べた資料をNRCに提出し、「一般認可」発行の許可を得る。
製造販売業者が協定集にある場合は、申請の相談を協定州政府にすることができる。
(2)「一般認可」されたガスクロマトグラフECDを販売したときは、NRC(ま たは所在地の協定州)に販売した顧客の住所、氏名、核種及び数量を3ヶ 月毎に報告するとともに、顧客の州に1ヶ月分まとめて報告する。
カナダの放射線防護令では、使用者及び放射線業務従事者に対する義務並びに線
量限度、モニタリング、標識及び記録の保存等を定めており、規制の免除について
は原子力安全管理令の「核物質及び放射線機器の規制」(Nuclear Substances and
Radiation Devices Regulations)に規定されている。「核物質及び放射線機器の規
制」は、2000年5月31日に改定されている。
1)免除量の定義
付属書第1欄に記載された約110核種について定義(希ガスは高い値、国 際基本安全基準免除レベルと違う値もある)され、その他は原子番号が81 以下の場合は10kBq、原子番号が81を超え、当該核種及びその短半減期娘 核種がアルファ線を放出しない場合は10kBq、原子番号が81を超え、当該 核種またはその娘核種がアルファ線を放出する場合は500Bq、2種類以上の 放射性物質に関しては、各核種の量に対応する免除量で割って得られた量の 合計が1である。免除量は放射能のみで規定されており、放射能濃度に関す る規定はない。
2)規制要件からの免除
@一般的免除は、核物質及び核不拡散に関わるものを除き、「いかなる者も 免許を受けずに下記の活動を実施することができる」として規定されてい る。
(1)放射性物質の量がその免除量を超えない場合は、その所有、譲渡、輸出入、 使用、採鉱、生産、精製、転換、濃縮、処理加工、再処理、管理及び貯蔵 (2)1年問に所有する密封線源(放射性物質の量がその免除量を超えないも の)が10個を超えない場合は、その所有、譲渡、輸出入、使用、廃棄、 生産及び整備補修
(3)機器に内蔵された放射性物質の総量が免除量の10倍未満の場合は、所有、 譲渡、輸出入、使用及び照射用機器以外の機器の廃棄
A品目を指定した免除は、煙感知器、トリチウム安全標識及びラジウム発光物 を含む機器について規定がある。
(1)煙感知器は、ある条件の下で許可を受けずに放射性物質を内蔵するものを 所有、譲渡、使用及び廃棄できる。
(2)トリチウム安全標識は、ある条件の下で許可を受けずにトリチウム放射化 自己発光型安全標識を所有、譲渡、使用及び廃棄できる。
(3)ラジウム発光物を含む機器は、ある条件の下で許可を受けずにラジウム放 射化自己発光型安全標識を所有、譲渡及び使用できる。
ただし、これら3つの機器の国内製造者及び販売者には、免除が適用されな い。
3)放射線機器の認証
@放射線機器は、適用免除量を超える放射性物質を内蔵し、その放射線特性を 利用して放射性物質を使用できる機器及びラジウム発光化合物を内蔵する機 器
A認証の要件は、認証済み形式のものである場合または開発目的の使用を認め た免許に従って使用される場合である。したがって、開発段階を除き、一般 には放射線機器はすべて形式の認証を受けて使用される。
B形式の認証申請については、「当委員会もしくは本法第37条(2)の@項 の下で権限を付与された任命官は、下記の情報を記載した申請書受理後に放 射性機器の形式を認証することができる」と規定している。
付録10 免除レベルとクリアランスレベル
(1)IAEA TECDOC-855
IAEAは、1996年にTECDOC-855「固体物質中の放射性核種に対するクリアラン
スレベル:規制免除の原則の適用」という報告書を刊行した。本報告書の目標は、
管理が取り除かれた後の物質の使用方法、あるいは、行き先にかかわりなく、固
体物質に適用される「無条件クリアランスレベル」を示すことである。クリアラ
ンスの対象としては、発生施設から持ち出し、制限なしに加盟国内または他国に
おいて、再利用または再使用、あるいは、処分することが可能な物質を考えてい
る。
(2)IAEA TECDOC-1000
IAEAは、1998年にTECDOC-1000「医療、産業及び研究における放射性核種の
使用によって生じる物質のクリアランス」という報告書を刊行した。
本報告書では、医療機関を含む小規模施設におけるクリアランスレベルについ
ての検討結果が公表されている。
本報告書では、固体廃棄物のほか、気体、液体廃棄物についても考察されてい
る1トン程度の量(年間0.1〜3トンを想定している)の固体廃棄物に対する
値は、BSSの免除レペルと同じ値となっている。
(3)原子力安全委員会報告書
原子力安全委員会では、IAEA TECDOC-855の考え方や方法に沿って、平成11
年3月に「主な原子炉施設におけるクリアランスレベルについて」において原
子炉施設からの廃棄物のクリアランスレベルを示した。これらの値は、国際基
本安全基準免除レベルよりも低い値である。
また、放射性同位元素使用施設からの廃棄物については、レベル値はまだ決定
されていないが、物量によりクリアランスのレベルが異なるので、全国の使用
施設から廃棄物などを集める業者(一括クリアランス廃棄物量:500トン/
年)と一般使用者(個別クリアランス廃棄物量:(1トン/年)に対するクリ
アランスレベルを別々に設定する考え方が出されている。